師匠譲りの“古典&新作”二刀流、三遊亭歌之介が四代目円歌を襲名!

[ 2018年4月27日 10:30 ]

三遊亭歌之介
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 【佐藤雅昭の芸能楽書き帳】4月13日の夜、東京・渋谷区文化総合センター大和田の「さくらホール」で開催された落語会に足を運んだ。毎日新聞主催の「渋谷に福来たるSPECIAL2018〜落語フェスティバル的な〜春風亭昇太と仲間たち2」だ。

 開口一番は二ツ目の三遊亭粋歌(41)が務め、「銀座なまはげ娘」を披露。続いて三遊亭白鳥(54)が登場し「落語の仮面 第4話『テレビ仮面舞踏会』」をたっぷり1時間かけて熱演した。

 休憩を挟んで林家彦いち(48)が高座に上がり、「つばさ」という噺(はなし)で会場を沸かせ、そして春風亭昇太(58)がおなじみの「オヤジの王国」でトリを飾った。昇太は言わずもがな、白鳥、彦いちもチケットが取りずらい新作派の人気者。そんな3人が顔をそろえたとあって会場はもちろんファンでぎっしり。熱気と爆笑に包まれた。

 それにしても創作意欲にはいつも感心する。まだまだ練り上げた方がいいと思われる噺に出くわすこともたまにあるが、完成度の高い作品に出合うとたまらなくうれしくなる。「古典も最初は新作だった」と言われるように、後世に残る噺をどれだけ生み出していけるのか。新作派にかかる期待は小さくない。

 この夜の落語会は大いに楽しんだが、正直言って、新作を続けて聞くのは意外と疲れるものだ。個人的な意見だが、古典落語が間に挟まって、それが知っている噺だったりするとホッとするというか、リラックスして楽しめる。新作でも初めて触れる噺ばかりだと、気が抜けない。

 古典も新作も器用にこなす落語家は昔からいたが、当世の代表格はやはり立川志の輔(64)、柳家喬太郎(54)あたりになるだろうか。この人の名前もすぐに頭に浮かんできた。三遊亭歌之介(59)だ。

 来年3月に「三遊亭円歌」の四代目を襲名することが決まった。4月22日に東京・国立演芸場で行われた「三代目三遊亭円歌一周忌追善落語会」で発表された。昨年4月23日に88歳で死去した師匠の三代目から名跡を継ぐように言われていたという。

 鹿児島県出身。高校卒業後の78年に三代目円歌に入門し、87年に先輩18人を抜いて真打に昇進。古典落語だけでなく、「授業中」「浪曲社長」「中沢家の人々」など自作の新作落語で人気を集めた師匠と同様、二刀流で知られ、故郷では鹿児島弁の落語も披露している。

 「チェスト!」という映画があった。08年の公開だから、ちょうど10年前になる。鹿児島の小学校で毎年行われる遠泳大会に初参加する児童たちの成長を描いた物語だ。アジア最大の映像見本市「香港フィルマート」に招かれた雑賀俊朗監督(59)、ヒロインの宮崎香蓮(24)を取材するため香港に飛んだのはついきのうのことのようだ。

 松下奈緒(33)、高嶋政宏(52)、筒井真理子(57)、羽田美智子(49)らが児童たちの脇をしっかりと固めていたが、鹿児島市交通局の運転手役で歌之介も出演し、いい味を出していた。

 大名跡を継ぐ歌之介は「プレッシャーはありますが、そのプレッシャーに負けていては仕方ないので、私なりに新しい新しい円歌をつくっていけたらと思っています」と意欲をみせている。

 放送中のNHK大河ドラマ「西郷どん」が鹿児島の魅力アピールに一役買っているが、薩摩隼人の歌之介も続いた形だ。襲名披露興行は来年3月21日の上野・鈴本演芸場から始まる。

 ◆佐藤 雅昭(さとう・まさあき)北海道生まれ。1983年スポニチ入社。長く映画を担当。

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