NHK交響楽団の名誉音楽監督がセクハラ 世界的な指揮者への告発が続出

[ 2017年12月22日 12:58 ]

シャルル・デュトワ氏(AP)
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 米AP通信は21日、世界的に著名な指揮者で、NHK交響楽団の名誉音楽監督も務めているスイス出身のシャルル・デュトワ氏(81歳)が過去にセクハラ行為を繰り返していたと複数の女性被害者の証言を基に報じた。

 証言したのは女性のソプラノ歌手3人と男性のバリトン歌手1人。1985年から2010年まで受けた具体的な行為の内容を明らかにしており、ボストン交響楽団は客演指揮者の同氏との契約を打ち切ると発表した。

 グラミー賞を2回受賞しているシルビア・マクネアさん(61歳)は1985年のリハーサルで起こった“事件”に言及。「エレベーターの中で壁に押しつけられ、彼は私の両脚の間に膝を食い込ませてきました。なんとか払いのけようとしたときにエレベーターのドアが開き、“やめて”と叫んだのを記憶しています。そしてそこから駆け足で逃げました」と32年前の出来事を明らかにした。

 ポーラ・ラスムッセンさんは1991年9月、「彼は私の手を握って自分のパンツの中に押し込み、私の口に自分の舌を入れてきました」と、デュトワ氏の控え室で被害にあった。それが繰り返し起こったために以後、ラスムッセンさんは1人にならないように注意を払っていたと言う。

 バリトン歌手のジョン・アトキンス氏はそのラスムッセンさんをガード。そばに立っているとデュトワ氏から「なぜおまえがそこにいるんだ?」と言われて冷たい視線を浴びたと証言している。

 匿名の2人のソプラノ歌手はともに2006年に被害にあった。そのうちの1人によれば、最初はランチに招待されたが、すぐに場所はデュトワ氏が宿泊していたホテルの部屋に変更。その室内で抱きつかれ、キスをされたために逃げ出したとしている。

 もう1人は同氏の控え室でミーティングだと言われて中に入ったものの、他のメンバーがいなくなったとたん、胸をつかまれたと言う。さらに車の中や舞台裏でもその行為は続いたと語っている。そして「彼は音楽家としては何も否はありません。しかしステージ以外では猛獣のように何をしても許されていました」とその蛮行ぶりを非難した。

 米映画界のセクハラ騒動を機に、欧米では各界の著名人によるセクハラ行為の告発が続出。クラシック界でも今月、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場が名誉音楽監督のジェームズ・レバイン氏(74歳)を停職処分にしており、これが今回のデュトワ氏の告発につながったようだ。デュトワ氏は英ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務め、各国のオーケストラとも演奏活動を行っていることから、その影響はさらに拡大することが予想されている。

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