「名医のTHE太鼓判!」余命宣告の裏側 収録は極度の緊張感…芸能人から逆オファー殺到

[ 2017年12月10日 09:00 ]

「名医のTHE太鼓判!」MCの(左から)児嶋一哉、渡部建、山瀬まみ(C)TBS
Photo By 提供写真

 芸能人への“余命宣告”で話題となっているTBS「名医のTHE太鼓判!」(月曜後7・00)。5回の特番を経て10月からレギュラー放送が始まった番組は、出演者の私生活に密着、精密検査を実施し、その健康状態を明らかにする健康医療バラエティー。「病気」をバラエティー番組で扱う難しさ、“余命宣告”の裏側を番組総合演出の千葉隆弥氏に聞いた。

 ◆モットーは医療知識を「正しく、楽しく」伝える

 これまで多くの芸能人の健康管理に一役を買ってきた「名医のTHE太鼓判!」。番組作りの軸を問うと、千葉氏は「医療知識を『正しく楽しく』というのが第一です。芸能人の生活ぶりを通して、視聴者が自分を見つめ直すというのがコンセプトです。生活習慣、たとえば偏食ぶりや怠惰な生活を見て楽しんではもらうけど、病気だけは絶対に笑ってはいけないということをスタッフの中でのルールにしています」と熱弁。「その病気で苦しんでいる人たちがいることを念頭に置いて、医療知識を正しく伝える。バラエティー番組ですけど、大げさな言い方はしないように気をつけています」と番組の骨子を語った。

 ◆話題の“余命宣告” 当初は心配の声…現在は芸能人から出演“逆オファー”殺到

 番組ではこれまで多くの芸能人に余命を宣告してきた。“余命宣告”という手法を用いることについては、「医師の皆さんはしっかり監修してくださっているので、放送しても大丈夫だとおっしゃっていただいていたのですが、やはりセンセーショナルな部分があるので、最初は作り手側の方で『大丈夫?』という声はありました」と苦笑い。「賛否はあると思いますが、『このままだとまずい』と思ってもらうために、“余命”は効果的なワードだと思いました。私自身はお医者さんに直接『あと10年で体がやばいよ』と言われたのが一番効いたんですよ。あの緊張感はすごい」と自身の経験を踏まえて、視聴者・出演者のためになる刺激的な表現を採用した。スタジオで名医が出演者に直接物申すスタイルも、この経験からヒントを得たという。当初は心配の声も上がったが、今では芸能人側から出演を売り込む“逆オファー” も届くように。健康番組として高い認知度を獲得するに至っている。

 ◆余命宣告は「ガチンコ発表」 収録は極度の緊張感でぴりぴりムード

 番組で発表される余命は、出演者には事前に知らせず、収録スタジオで“ガチンコ発表”の形式を採っている。「出演者の皆さんは他の番組とは違う極度の緊張感を持って収録に臨んでいます。ワーストランキングの形で余命が長い順番に発表されていくので、なかなか名前が呼ばれない出演者の顔が徐々に青ざめていって…。スタジオのピリピリ感はすごい」といい「(自分の)結果を聞いて強がる方もいれば、ショックを引きずって、しゃべらなくなってしまう方もいます。でも番組ではそこからの生活改善にも密着するので、出演者の方の番組への入り込み方は独特なものだと思います」と番組の裏側を明かした。

 ◆過去には番組の検査で乳がんが発覚 医療+バラエティーの難しさ

 健康法や治療法を紹介する番組は数多く放送されており、健康番組はまさに群雄割拠の時代を迎えている。千葉氏は「他の番組と大きく違うのは医者同士の見解の違いを見せて、意見をぶつけ合ってもらっている点だと思います。結論ありきではなくて、意見の違いも視聴者の皆さんには見てもらおうと思っています」と他番組との差別化を意識。実際に番組で水素水を取り上げた際には、医者の見解が大きく分かれたこともあった。「異なる意見だけど、それぞれの医師のアプローチが違うだけで根本にある考え方は同じ。その核となる根本部分を視聴者に届けたいです。打ち合わせでは医療の専門用語が飛び交うので、『先生ちょっと待って!』となることもありますけどね」と苦笑いを浮かべて語った。

 過去の放送では歌手・麻倉未稀(57)の乳がんが番組の検査中に発覚。「重篤な病気が見つかった場合は、番組発表ではなく医師の方に告知をお願いしています。その後、テレビで扱うかどうかは出演者本人の判断で決めてもらいます。麻倉さんは『同じ病気の方を勇気づけたい』との思いから密着を受けてくださいました」と当時を振り返り「バラエティーというよりはドキュメンタリーですよね」と真剣な表情。「医療とバラエティーとのバランスを取るのはやはり難しいですけど…」と繰り返し、医療とバラエティーの融合の難しさを口にしながらも「病気とまじめに向き合いながら、楽しい番組をこれからも作っていければ」と力強い。笑いと正しい医療知識、一挙両得の番組を――。異彩を放つ医療健康バラエティーに注目が集まっている。

続きを表示

2017年12月10日のニュース