ビートルズ名盤ボツ音源50年の時を越え初公開 制作過程解明?

[ 2017年4月6日 05:30 ]

ビートルズの不朽の名作「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」
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 ザ・ビートルズが67年に発表した、ロック史上最高アルバムの呼び声高い「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」の、幻の未発表音源が来月26日、正式に発表される。

 同作はビートルズが66年にライブ活動停止を宣言した影響で、メンバー4人が個々の興味を追求し始めた時期の作品。亀裂の入りだした4人の関係を象徴するように、持ち寄った曲はまとまりを著しく欠いた。それらを一つにまとめるため、ポール・マッカートニー(74)が、架空のビッグバンドによるショー風に仕立てるアイデアを出した。

 奇抜な編曲やテープを逆回転させての録音など当時の最新技術をふんだんに取り入れ、400時間以上をかけて完成。結果的にバンド中期の芸術・実験路線の集大成となり大ヒットし、一定のテーマに基づいたコンセプト・アルバムの元祖としてロック史の金字塔に。米誌「ローリング・ストーン」選定の「偉大なアルバム500選」で1位に輝いている。

 未発表音源はアルバム収録曲を完成させる過程の別編曲のテーク。ビートルズ研究の第一人者、藤本国彦氏によると「同作のボツ音源は他のアルバムに比べ、圧倒的に流出量が少ない」という。収録される“ボツ音源”は30曲以上。「これほど長持ちする芸術をどうやってつくり上げたのかと、少々の驚きを感じている」とコメントしたポールだが、自らが主体となり生み出した最高の作品にあえて余分を足すことにゴーサインを出した。

 藤本氏は「ボツ音源が厳重管理されていた影響で、作品の制作過程も謎に包まれていた。節目の発売50周年を迎え、それが垣間見える試みも面白いと思ったのでは」とポールの心境を分析。「ポールが生きているうちに名作の裏側に肉薄できる音源が発表される意義は大きい」と話した。

 同時に、既存の原盤に新たな音を加え、より現代的なサウンドに仕上げた、同作の“進化版”も発表される。同作が新たに音を加えた形で再販されるのも初めてだ。

 ▽「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」 発売当初、英チャートで23週連続、米チャートで15週連続1位。以降もロックの必携盤と位置づけられ世界で3200万枚以上をセールス。米雑誌「プレイボーイ」など数々のランキングで歴代1位に輝いている。代表曲はポールとジョン・レノンの別々の曲を一つにつなげた「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」。ボブ・ディランやマリリン・モンローら各界著名人数十人の肖像が並ぶジャケットも名作の誉れ高い。

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2017年4月6日のニュース