坂本冬美「天命を知る」50歳の決意「結婚ネタ封印 演歌が私の生きる道」

[ 2017年1月4日 11:00 ]

色紙を手に笑顔の坂本冬実
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 歌手・坂本冬美(49)が3月でデビュー丸30年、50歳を迎える。大阪市内でこのほど、本紙インタビューに応じ「演歌が私の生きる道。地に足着けてしっかり歩む」と節目の年の決意を表明。28回目の出場となった昨年12月31日のNHK紅白歌合戦でも熱唱した「夜桜お七」の秘話、無期限休養を乗り越えた歌手人生も回想した。

 デビュー30年目の昨年末も輝いた。ドラマ「神の舌を持つ男」とその映画版の主題歌「女は抱かれて鮎になる」が日本レコード大賞・優秀作品賞を受賞、紅白では写真家・蜷川実花氏の映像、ダンサー菅原小春を従え「夜桜お七」を華やかに披露した。翌日に「朝になっても放心状態」と吐露するほどの熱演だった。

 今年は五十路に突入するが、「演歌を歌うにはいい年齢」と歓迎する。昨年発売して毎日芸術賞特別賞に決まった名演歌のカバー・アルバム「ENKA〜情歌〜」を機に、先人のバトンを引き継ぎ次世代に演歌を渡す役目にも思いが及んだ。「五十にして天命を知る、ですかね。地に足着けて歌いたい」と語った。これまでの歌手人生が浮足立っていたわけではない。だが異端児とまでは言わずとも、演歌界では革新的な活動をしてきた一人だろう。王道演歌を歌う傍ら、91年に故忌野清志郎さんらとユニット「HIS」を組み、セーラー服でロックやポップスを熱唱。09年にビリー・バンバンの「また君に恋してる」をカバーしてヒット、15年にはゴールデンボンバーの「片想いでいい」を歌った。

 紅白出場28回中6回歌った「夜桜お七」(94年発売)も今でこそ代表曲だが、当時は斬新すぎる演歌に発売を反対する声もあった。作曲者の故三木たかしさんが「売れなかったら頭を丸める」と覚悟と自信を見せ発売に至った。坂本はといえば、三木さんからのデモテープでイントロを聴いた瞬間に鳥肌が立った。尊敬する師匠で作曲家・猪俣公章さんの死去後初となる猪俣メロディーでないシングル。「猪俣先生の死の悲しみをふっきるには全然違うタイプの曲が必要だった。夜桜お七だったから新たなスタートを切れた」と振り返った。

 デビュー10年目の96年には同曲で紅組トリを務めたが、翌年に華やかな歌手人生は最愛の父の死で一変した。自身の体調不良も重なり02年4月から無期限休養に突入。心も疲れ果て、「歌手に戻る気はなかった」という。だが休養先の和歌山の実家に毎日届くファンの手紙、大先輩・二葉百合子の歌唱指導や助言に励まされ、翌年4月に復帰した。「あの休業がなくても、きっとどこかでパンクしてた。私には必要な時間だった」と、空白の1年に思いをはせた。

 私生活では独身。結婚願望も口にしてきたが昨年、「結婚ネタは封印」と宣言した。真意を問うと、「言い過ぎるとイタいでしょ?結婚がどうとか、素敵な人が現れてほしいとか思わず歌の道をまい進する」と答えたが、直後に「結婚を諦めたわけではないですよ」と強調した。「ジタバタせず、そういう時が来たら来たで考えればいい」と笑顔。恋も地に足着けて臨むことを誓っていた。

 ≪大阪公演心待ち≫昨年は30周年リサイタルを開催。公演の模様を収録したDVDが発売中だが、今年は6月24日から7月23日に大阪・新歌舞伎座で「五木ひろし特別公演・坂本冬美特別出演」として、五木ひろし(68)と芝居や歌で共演する。和歌山県人だけに関西への愛情は深く、「公演のたびに帰って来た!と思う」と笑顔。「ファンの数も関西が圧倒的で、心強い。会いに行くのが今から楽しみです」と張り切った。

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