白菜のヒミツ?野菜高騰!適正価格ってなんだ?

[ 2016年11月12日 09:00 ]

できあがりは漬け物というよりサラダかな

 【笠原然朗の舌先三寸】いまはそんなことはないのだろうが。相撲部屋で力士たちが囲むちゃんこ鍋。番付が上の力士から順番に食べ進み、下っ端が食べるころには汁を残すのみ。それをご飯にかけて食べる、という話を聞いたことがある。ああ、なんと理不尽な。具が食べたければ出世しないと…の相撲哀史。

 そんな話を知人で高砂部屋マネジャー、元一ノ矢の松田哲博さんにしたら、にやにやしながら「一番、栄養があるところを下の子たちに残してあるのですよ」と。肉、野菜などあらゆる具の栄養素が溶け込んだ汁は“残り汁に福”。力士のカラダをつくる源になるのだという。妙に納得。

 それにしても野菜が高い。江東区内の会社近く、安いことで人気のスーパーでは11月8日の時点で、白菜が4分の1で198円、レタスが1個250円、キャベツが1玉398円。

 夏の暑さと、季節はずれに日本を襲った台風の影響というが、これからシーズンの鍋野菜に何を使おうかと迷ってしまう。

 鍋物で大活躍の白菜。最近、知ったのだが、日本に登場したのは明治時代。一般に広く流通し出したのは大正期から。地中海沿岸原産で、中国経由で日本に入ってきたのだという。どうりで江戸期を描いた時代小説の中に登場しないわけだ。

 葉がまとまって、横から見ると楕円形の白菜だが、家庭菜園で育てたことがある友人によると、「放っておくと葉が開いたまま。だから閉じるにはヒモかビニールテープで縛る」。

 種をまいてから収穫まで種類によって異なり、60~90日。友人が言いたいのは「作るのに非常に丹精と手間が掛かる」ということ。白菜に限らずどんな野菜でもそれは同じだろう。

 東京・大田市場での白菜の卸値は、11月9日現在で高値が1キロ252円、安値が57・6円。白菜は1個3キロ程度。従って前述のスーパーを例にとれば1個800円は、仮に最良品なら卸値を反映しての適正価格。

 例年、盛期には1個250~300円で売られるから、「高過ぎる」と思う一方で、白菜農家の手間を考えた場合、本当はいまが適正価格なのではないか?白菜に限らず、店頭に並ぶ野菜や肉、食品、あるいは飲食店で提供される一品…「安い」、「お得」な品々は“作る者”の手間や労賃を適正に反映した価格なのか?と考えたりする。

 消費者にとって安いのは大いに歓迎。だが価格を安く抑えるために誰かがどこかで割を食っているのではないか?世界的規模で流通する食料品はどうなのか?

 白菜漬けを作りながらそんなことを考えた。(専門委員)

 ◎白菜のビニール袋漬け

 白菜は家の近所にある練馬区の「JAあおば」で1個300円。使い勝手が良い野菜だから、これだけあると結構、楽しめる。樽に漬け込む白菜漬けは面倒…という人には最適なビニール袋漬け。

 (1)白菜を漬物として食べやすい大きさに切る。

 (2)ボウルで塩もみ。水分が出るので白菜の葉をつまんで「ちょっと塩辛いかな…」ぐらいの塩加減。

 (3)(2)にみそ汁などで使う袋だしの中身(なければ顆粒の和風だし)と刻んだゆずの皮を加えて、よくもむ。

 (4)二重にしたビニール袋に(3)を入れて空気を抜き、ペットボトルなどを重し代わりにしてそのまま6時間以上置く。食べるときは水をよく切って。

 ◆笠原 然朗(かさはら・ぜんろう)1963年、東京都生まれ。身長1メートル78、体重92キロ。趣味は食べ歩きと料理。

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