哀川翔 カブトムシは生きた教材 喜びと悲しみが子供を成長させる

[ 2016年7月31日 10:30 ]

カブトムシを手に笑顔の哀川翔

 子供たちが虫捕りに夢中になる夏休み。芸能界の“ムシキング”こと俳優の哀川翔(55)が注目されている。昨年、世界最大となるカブトムシを育て上げ、飼育本を監修するまでになった。「飼うと子供の心が成長する」と、特に子供がいる家庭に飼育を勧め、その独自のノウハウも教えてくれた。

 「スイカなんてあげちゃダメ。1週間で死ぬよ」。カブトムシの飼育法を聞くと「よくある間違い」として真っ先に挙げた。最近はエサ用として売っている昆虫ゼリーが主流だが、カブトムシといえばスイカを連想する人も多いだろう。

 「スイカはほとんど水だから下痢しちゃう。もしゼリーがないなら、しばらく冷蔵庫から出して真っ黒になったバナナがいい。こいつらはあれが一番好きだ」

 現在、幼虫も含めて約5000匹を飼育しているアニキは、親しみを込めて「こいつら」と呼ぶ。「あと、日当たりのいいところで飼っちゃダメだ。極力、日陰。エアコンで25度ぐらいにしてやると、こいつらも快適だ」

 昨年6月、世界記録を打ち立てた。飼育したカブトムシが東京・中野の昆虫ショップ「むし社」の正式計測で従来の記録を0・7ミリ上回る88・0ミリをマークし、日本最長記録に。カブトムシを国外で正式計測している例はなく、この日本記録はそのまま「世界記録」となっている。

 今年のカブトムシは87・4ミリだったが「育て方は間違ってない。夢の90ミリが来年か、再来年には出るよ」と自信たっぷりだ。より大きく育てるには、幼虫期にいかに栄養を与えるかがポイント。幼虫を土代わりに埋めて育てる「発酵マット」のよしあしが結果を左右するという。

 「いい発酵マットを手に入れているんだ。昨年から使い始めて2年連続でビッグサイズが出てる。今年、86ミリ超えが100匹ぐらい出たよ」

 アニキが育てるカブトムシはツノが曲がっていたりせず、形状が美しい。デカくてキレイなのが昆虫マニアに高く評価されている。

 カブトムシを育てるようになったきっかけは、約20年前に訪れた鹿児島の温泉でたまたま幼虫を見つけたこと。「子供のころに一度も幼虫を羽化させられなくてさ。それを思い出してリベンジしようと50匹ほど持ち帰ったんだ」。全て羽化させたことで飼育にハマり、それ以来、毎年続けている。

 昆虫好きが世間に注目されるようになったのは7、8年前。当初はメディアに「アニキの意外な趣味」というように取り上げられていたが、趣味のレベルを超えたその本格的な飼育ぶりから、仕事や取材が舞い込むようになった。

 「10年前にカブトムシの話をしても誰も聞かなかったのに、今は凄いよ。夏になるとめっちゃ電話くるもん。カブトムシくれって。夏場は虫のイベントにめっちゃ呼ばれるし、テレビも虫がらみの仕事が増えるな」

 東京スカイツリータウン・ソラマチ5階で8月24日まで開催中の「大昆虫展」(スポニチ主催)ではアンバサダーを務めている。ついには飼育本を監修するまでになり、29日に「はじめてのカブトムシ飼育BOOK」(ブックマン社)が発売された。

 「こいつら2カ月ぐらいで死ぬんだよ。死んだ時に子供って凄い悲しむんだけど、それが大切。生と死という生命の存在に直面した時に心が成長する。寿命ということを覚えて、新しく宿った命を翌年まで育てようと思うんだ」

 本業の俳優としては、NHK大河ドラマ「真田丸」に後藤又兵衛役で出演する。初登場するのは8月28日。登場シーンはすでに撮影を終えた。

 「真田幸村と盟友になって、大坂の陣でともに戦っていく流れがどうなっていくか。鎧兜(よろいかぶと)を着ての合戦が楽しみだ」

 カブトムシの次は、ヨロイカブト。13年ぶりに出演するNHK大河ドラマで存在感を発揮し、さらに「カブト」で仕事の幅を広げそうだ。

 ◆哀川 翔(あいかわ・しょう)1961年(昭36)5月24日、徳島県生まれ。84年に柳葉敏郎らと路上パフォーマンス集団「一世風靡セピア」でデビュー。86年にはシングル「青の情景(シーン)」でソロデビュー。89年のグループ解散後は俳優業が中心に。代表作に主演映画「ゼブラーマン」(04年)など。3男2女を持つ。1メートル78。血液型AB。

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