宮藤官九郎が「ゆとり世代」描いたワケ 枝見P「実はゆとりない」

[ 2016年4月24日 10:00 ]

「ゆとりですがなにか」に出演する(左から)柳楽優弥、松坂桃李、岡田将生(C)日本テレビ

 人気脚本家・宮藤官九郎(45)が手掛ける岡田将生(26)、松坂桃李(27)、柳楽優弥(26)出演の日本テレビ「ゆとりですがなにか」(日曜後10・30)は24日に第2話が放送される。グッと心をつかむタイトルが話題になっているが、なぜ宮藤は「ゆとり世代」をテーマにしたのか。枝見洋子プロデューサーに聞いた。

 2002年に実施された、週休2日、授業時間の削減などの教育改正が導入された87年生まれは「ゆとり第1世代」と呼ばれている。大学3年時にリーマンショックで就職氷河期を体験し、社会人1年目で東日本大震災を経験するなど厳しい現実を見てきた。ドラマは競争社会の中で戸惑いながらも、とにかく必死に毎日と向き合っていくというストーリーで、岡田ら本物の“ゆとり世代”の俳優が熱演している。

 宮藤が「ゆとり」にこだわった理由について、枝見プロデューサーは「宮藤さんが20代の後輩と仕事をしている時に『自分、ゆとりなんで』と言われて何とも言えない気持ちになったと。それから興味を持ち始めたのがきっかけです」と明かした。実際に87年生まれの「ゆとり第1世代」や、平成生まれの「ゆとりモンスター」たちに取材をしたといい「色々な話を聞いて宮藤さんが主人公たちのイメージをつくり上げました」と説明する。

 取材を通じて枝見プロデューサーが発見したのは、ゆとり世代を一括りにはできないということ。「第1世代からすると自分より下の世代の行動に驚くことが多いと話していた。私も年下の後輩に感じるのと同じようなことを、彼らも後輩に対して思っている。ゆとりとか関係ないなと思いました」と振り返った。第1話では入社2年目の後輩・山岸(太賀)が、ゆとりの先輩でもある正和(岡田)にも理解できないようなマイペースな言動をとって周囲を振り回す。宮藤はこの“ゆとり世代間ギャップ”を面白おかしく描いていた。

 ドラマで伝えたいのは「ゆとり世代」という言葉と実像のギャップと、不器用だが優しく強くあろうとする若者たちの清々しい姿。枝見プロデューサーは「話が進むうちに見方が変わると思います。『実はゆとりってゆとりない。一生懸命に生きているのだな』と。宮藤さんは、ゆとりを批判するつもりは全くなくて、ジタバタしながらも何とか生きていこうとするアラサー男子の真摯な姿を描いています」と作品に込めた思いを口にする。

 第2話以降、ストーリーも登場人物のキャラもどんどん濃くなっていく。「楽しんでいただけたらなと思います。随所に仕掛けられた宮藤さんらしい、愛すべき笑いの種を、水田監督が見事に花開かせています。笑って泣いて、物語をとても身近に感じられるドラマだと思います」と笑顔で魅力をアピールした。

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