加藤治子さん92歳大往生 ありがとう…優しき昭和のお母さん

[ 2015年11月5日 07:10 ]

加藤治子さん

 テレビドラマ「寺内貫太郎一家」(TBS)など、数多くの母親役で親しまれた女優の加藤治子(かとう・はるこ)さんが2日、死去した。92歳。東京都生まれ。葬儀は近親者のみで営まれた。

 森光子さんや山岡久乃さんらと並び「日本のお母さん像」とされた女優だった。松竹少女歌劇学校を経て1939年(昭14)に東宝映画入り。「花つみ日記」で映画デビューし榎本健一さんの相手役などを務めた。64年に森繁久弥さんと共演したテレビドラマ「七人の孫」から、着物姿の母親役がハマリ役となった。

 温かく、ひょうひょうとした役が多かったが、女の業をのぞかせる演技も光った。向田邦子作品ではキーマンとなる役を多数演じた。「阿修羅のごとく」「だいこんの花」などが代表作で、「寺内貫太郎」では、主演の小林亜星の妻役を演じて人気ドラマを支えた。

 近年では、スタジオジブリのアニメ「魔女の宅急便」「ハウルの動く城」などで声優を務めたり、2010年には映画「おとうと」に出演するなど、幅広く活躍していた。

 私生活では46年に劇作家の加藤道夫さんと結婚したが死別。58年に俳優で演出家の高橋昌也さんと再婚し、73年に離婚した。

 ◆加藤 治子(かとう・はるこ)1922年(大11)11月24日、東京都出身。41年新演劇研究会に入団し、49年に合流した文学座では主役級で活躍。63年に劇団雲の創設に携わったが、74年に退団。その後はフリーとなった。2009年までTBS「浅見光彦シリーズ」に出演し、光彦の母を演じた。02年に勲四等宝冠章を受章。

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