仲間由紀恵 森さん“後継”もオリジナルへ意欲「いいところをもらいつつ」

[ 2015年10月6日 12:00 ]

「放浪記」で林芙美子を演じる仲間由紀恵

 名作舞台「放浪記」が約6年4カ月ぶりに復活する。通算2017回にわたり故森光子さんが演じた反骨と異端の女流作家、林芙美子役を継ぐ仲間由紀恵(35)は、厳しい稽古の真っ最中だ。日比谷・シアタークリエで行われる東京公演の初日を14日に控え「いまだ完成しているものはない」と試行錯誤の連続だが、記者の心配に「安心してください」と“どや顔”。「とにかく強気な仲間」、その自信の根拠とは!?

 難局を打開する糸口は「元祖」森さんの演技にあった。「あらためて、丁寧にやってらっしゃったんだなと実感します。感情のうねりを、勢いではなく、ゆっくりのぼらせている」と感嘆する。

 素人には難しい表現。どういうことか聞いた。「林さんは劇を通して怒ってるけど、演者は、のべつまくなし怒ってはいけないんです。でないとお客さまも“なんか仲間、4時間ずーっと怒ってたな”ってなっちゃう。森さんは、林芙美子のやりそうなことをいろいろ我慢して、湧き上がってきた感情を抽出することで林さんを描き上げた」

 その上で、仲間は自身の役作りを「湖」にたとえる。「静かな湖面を自分の中でつくっていく。その間、ひとつも水滴を垂らしてはいけない。完全に穏やかな湖が完成したとき、底からわき上がってくるものこそが正解なんです」。湖面づくりとは、より踏み込んだ林芙美子像の分析や、場面の空気を読むこと。水滴は先入観や、勢い任せの演技だ。その結果、仲間なりにはじき出した、真の林芙美子の言動が舞台上で披露されるのだ。

 「稽古の最中は必死なので森さんを思い出す余裕もないですが、時々、森さんの声がよぎることがあるんですよ」

 そんな森さんの存在もまた、越えなければいけない壁だ。

 演出の北村氏は「仲間さんは森さんの林芙美子をただ、なぞるのではなく、自分自身で解釈することに強い意欲をもっている。まっさらな状態から、林芙美子を創造している」と評する。

 オリジナルへのあくなき意欲。「森さんのいいところをいっぱいもらいつつ、自分を出していけたら。初日までには完成する手応えはある。安心してください!」。その表情には一点の曇りもなかった。“仲間放浪記”のお披露目、“とにかく楽しみ”だ。

 ◆仲間 由紀恵(なかま・ゆきえ)1979年(昭54)10月30日、沖縄県生まれの35歳。93年に地元のタレント養成学校に入り、95年に上京し芸能界入り。00年にテレビ朝日ドラマ「TRICK」に主演しブレーク。02年の日本テレビのドラマ「ごくせん」とヒットを連発する。NHK紅白歌合戦の紅組司会4回は歴代3位タイ。

 ▼放浪記 菊田一夫氏作の長編劇。林芙美子が清貧と放浪の半生を「放浪記」として出版し、流行作家になるまでの奔放で激しい人生を描く。1961年初演以来、通算2017回上演された。今回は東京公演終了後、大阪、名古屋、福岡など来年1月まで計105公演を予定。

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