ピース又吉 愛する太宰語る、荻窪のアパート「碧雲荘」撤去危機で

[ 2015年9月14日 20:59 ]

太宰治が暮らした「碧雲荘」の保存を訴える住民主催のシンポジウムで対談する又吉直樹

 作家太宰治(1909~48年)が暮らした東京・荻窪のアパート「碧雲荘」を残そう―。太宰の愛読者として知られる芥川賞作家でお笑い芸人の又吉直樹(35)が14日、碧雲荘の保存を訴える地元住民らが東京都杉並区で開いたシンポジウムに招かれ、太宰について「僕が好きと言っても、びくともしない。ファンもアンチも全部引き受ける強さがある」と熱い思いを語った。

 碧雲荘が立つ土地は杉並区が一帯に高齢者福祉施設などを整備する計画で4月に購入。来年4月までに建物を撤去することで所有者と合意していた。区政策経営部は「太宰が住んだ建物があったという記録は残したい」と、記念碑建立などを検討しているが、建物そのものの保存や移築には消極的。地元住民らは「荻窪の歴史文化を育てる会」を設立し「区民の宝として保存、活用してほしい」と署名活動などに取り組んできた。

 太宰が碧雲荘に住んだのは36年11月から37年6月までの約7カ月。駆け出し作家だった太宰は、薬の中毒症状で体調を崩し、病院から退院した直後。短編「東京八景」でも碧雲荘は「天沼のアパート」として登場する。

 又吉は「現役の作家で好きな人はたくさんいるけれども、誰が好きかと聞かれると、まず太宰を挙げる」と太宰愛を披露。碧雲荘については「いろいろな問題もあり難しいでしょうけれども、碧雲荘が残って太宰の小説を読むきっかけになったらと思います」と述べた。

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2015年9月14日のニュース