石井監督 笑顔の4冠「みんなで作ったという手応え」

[ 2014年1月21日 05:30 ]

「舟を編む」で日本映画大賞、監督賞など4冠に輝いた石井裕也監督

2013年(第68回)毎日映画コンクール 日本映画大賞 監督賞

 辞書作りに情熱を注ぐ人の姿を悲喜こもごも絡めて丹念にすくい取った石井裕也監督(30)の「舟を編む」が日本映画大賞に輝いた。監督、美術、松田龍平(30)の男優主演賞も合わせて同作品は4冠を達成。

 自らの監督賞を「ラッキーだったな、くらいの感覚」と話す石井監督も、原田満生氏の美術賞、松田龍平の主演賞、そして何より大賞の栄誉には端正な顔をほころばせた。「みんなで作ったという手応え、実感が僕の中にあるので、そこを高く評価していただけたのが本当にうれしい」とチームワークで勝ち取った4冠に胸を張った。

 三浦しをんさんのベストセラー小説の映画化。出版社の辞書編集部を舞台に、24万語にも及ぶ「大渡海」作りに奔走する人々の姿を、主人公の恋も絡めて描いた。劇的な展開があるわけではないが、だからこそ「描きがいがあった」と強調する。「スポットライトの当たらないところに照射し、こつこつと一生懸命生きている人たちの魅力だったり、素晴らしさだったりを見せていくというのが一つの表現としてあると思った」

 その思いは銀幕を通して見る者の心にしみた。「まだまだ勉強中」と謙虚な30歳。「逸材」「俊英」はありきたり。つい「骨太」と辞書で引いてみた。5月には新作「ぼくたちの家族」の公開が控える。

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2014年1月21日のニュース