海老蔵殴打男が出頭、報道陣“威圧”も

[ 2010年12月11日 06:00 ]

目黒署を出る伊藤リオン容疑者

 歌舞伎俳優の市川海老蔵(33)が殴られ大ケガをした事件で、警視庁は10日、傷害容疑で逮捕状を取っていた東京都内に住む元不良グループメンバーで職業不詳の伊藤リオン容疑者(26)を逮捕した。伊藤容疑者はJリーグ・東京Vのジュニアユースでプレーした経験がある。調べに対し「殴ってしまったことは間違いありません」と供述。ただ、事件の経緯について海老蔵とは主張に食い違いが多く、警視庁は現場に一緒にいた仲間からも事情を聴く。

 事件は発生から16日目に急展開をみせた。
 伊藤容疑者は午後8時前、関係者を通じて捜査員に連絡。都内の路上で捜査員と1人で接触し、警視庁本部庁舎に移動して逮捕状が執行された。
 同9時11分ごろには手続きのため、海老蔵の自宅がある目黒区内を管轄する目黒署に到着。ワゴン車の最後列の3列目に座り、黒い革ジャン姿。署に入る際、フラッシュをたいた報道陣を威圧するように薄笑いを浮かべ、顎を上げた。
 同10時50分には目黒署を出て、再び警視庁に移送された。ここで本格的な事情聴取の後、一夜を明かした。
 警視庁は海老蔵からの被害届を受け、11月29日に逮捕状を取った。伊藤容疑者の行方が分からなくなっていたため、弁護士を通じて出頭を要請。伊藤容疑者も「今週中には警察に出向きたい」と周囲に話していた。
 逮捕容疑は11月25日未明、東京都港区西麻布2丁目の雑居ビル内にある飲食店で海老蔵の頭部や顔面を殴ったり蹴ったりの暴行を加え、上顎の骨を折るなど約6週間の重傷を負わせた疑い。「殴ってしまったことは間違いありません。細かいことは後で、気持ちを整理して話します」と供述しているという。
 一方、海老蔵に殴られたと主張する元不良グループのリーダー(28)は来週中に被害届を出す意向。かつて伊藤容疑者と同じ、都内の不良グループを束ねた組織に所属し、先輩にあたる。この元リーダーは海老蔵に「灰皿で2、3回殴られた。椅子から思い切り引き倒された」と話しており、顔面打撲、頸椎(けいつい)捻挫で全治4週間相当の診断書をとっている。
 事件は大きく動いたが、双方の主張には大きな食い違いがある。海老蔵は入院先から退院した7日の記者会見で、自らの暴行を完全否定。伊藤容疑者が、警視庁と今回の調整をした弁護士に今後の弁護を依頼するかは未定だが、海老蔵側の深沢直之弁護士とは「かなりスタンスに隔たりがある」(法曹関係者)とされている。事件の全容解明までは、まだまだ時間がかかりそうだ。

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2010年12月11日のニュース