【内田雅也の追球】冬越えパワーの打撃

[ 2026年3月7日 08:00 ]

オープン戦   阪神5―0ソフトバンク ( 2026年3月6日    甲子園 )

<神・ソ>6回、中前打を放つ中川(撮影・亀井 直樹)
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 今年初めての甲子園での試合はソフトバンクが相手だった。昨秋の日本シリーズで敗れた相手である。阪神監督・藤川球児は「いやあ、特に」と言ったが、見る側はどうしても宿敵と映る。

 日本一を決められた第5戦(10月30日)では石井大智、村上頌樹がともに外角低め速球を柳田悠岐、野村勇に甲子園の反対方向に本塁打された。パワーを見せつけられた格好だった。

 そんな力強さ、パワーは日本一奪回へのテーマだったはずである。

 あれから4カ月。この日、ひと冬越した阪神打者のパワーが垣間見える打撃が相次いだ。それは内角速球を詰まりながら安打にした打撃である。

 中川勇斗の二直、中前打はともに内角速球に振り負けていなかった。オフの間に体を大きく強くし、またも3番で起用されていた。大山悠輔は内角ギリギリを左翼フェンスまで運んだ。小幡竜平、嶋村麟士朗、高寺望夢は詰まっても外野まで運び、安打にしてみせた。

 むろん、内角打ちの技術というのはある。そんな技よりも、力で持っていけるほどのパワーが備わっていたのだ。

 育成で売り出し中の嶋村は「オフの間、詰まらされても崩されても持っていけるように練習してきました」と話していた。うれしい結果だろう。

 「野球は冬のスポーツだ」とは、花巻東高監督・佐々木洋の言葉だそうだ。同高OBでワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表に初選出された菊池雄星(エンゼルス)が著書『こうやって、僕は戦い続けてきた。』(PHP研究所)に記している。

 <シーズンの成果は、実はその前のオフシーズン、10月から2月にかけての期間にどれだけ良い取り組みができたかによって、そのほとんどが決まってしまうと僕は思っています>。

 菊池は米16代大統領エイブラハム・リンカーンの「もし木を切り倒すのに6時間かかるなら、私は4時間を斧(おの)を研ぐのに使うだろう」を引用していた。オフに「斧を研ぐ」わけだ。
 猛虎たちは十分に斧を研いで甲子園に帰ってきた、と思いたい。

 試合前のOB室。先輩の藤田平と顔を合わせた川藤幸三が「あけましておめでとうございます」とあいさつしていた。藤田は「そうやな。今年初めてやからな」と笑って返した。今年もまた、甲子園での戦いの日々が始まった。 =敬称略=
 (編集委員)

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