【内田雅也の追球】ニライカナイからの教え

[ 2026年2月6日 08:00 ]

伊計島の大泊ビーチ
Photo By スポニチ

 朝、洗濯をしていると、青い空がまぶしく、ぱいかじ(南風)が心地よい。天気に誘われた。

 阪神は今キャンプ初の休日。定宿のペンションオーナーに勧められ、ドライブで伊計島を初めて訪ねた。ふだん、キャンプ地・宜野座村を散歩中に見える島である。

 本島から海中道路で平安座島に渡り、宮城島を抜ける。サトウキビ畑の合間から見えたビーチに立ち寄った。浜辺にいたのは旅行者と思われる3人家族だけ。波打ち際で潮騒を耳に海を眺めた。遠くでまばゆくキラキラと光っている。どこかで見たシーンだと思った。

 「水平線のず~っと向こうにね~、ニライカナイって呼ばれてる~、神さまがすんどるんよ。理想の世界があるって、言われてるさ~」

 映画『ニライカナイからの手紙』(2005年公開、監督・熊澤尚人)は沖縄・竹富島の埠頭(ふとう)で母親(南果歩)が幼い娘に言って聞かせるシーンで始まる。ニライカナイは沖縄の伝承に登場する水平線のかなたにある神々が住む理想郷をいう。死者の魂が行く所でもある。

 父は亡く、母は「いつか帰ってくる」と言い残し東京に出て行く。娘(蒼井優)の誕生日に毎年、母から手紙が届く。その言葉に励まされ、勇気づけられ、成長する。

 ネタバレになってはいけないが、タイトルから想像がつくように、手紙はニライカナイから届いているわけである。

 阪神監督・藤川球児の言葉を思いだした。昨年11月25日、優勝祝賀会でのスピーチである。

 一昨年秋の監督就任時「まずは先人の言葉を借りようという意味で凡事徹底と姿勢をテーマにしました」。優勝という結果につながり「やはり、先人たちが残していった言葉、それから戦い抜いてきた歴史というのは正解が本当に多いなと今も思っております」

 川藤幸三(前OB会長)は「球児ほど、球団史を学び、伝統を重んじ、先人への敬意を持っている者はいない」と言う。

 OB最年長だった吉田義男が逝って1年がたった。阪神が初めて沖縄でキャンプを張ったのは2003年。当時、監督だった星野仙一も今は亡い。ニライカナイからの教えを引き継ぎたい。

 藤川はあの日「オールタイガースで連覇に挑む」と約束した。先人、OBも結束して挑むという決意である。 =敬称略=
 (編集委員)

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