奥田秀樹通信員が明かす“MLBと賭博” 過去に苦い経験…薬物使用以上に重い罪も

[ 2024年3月22日 04:00 ]

16日の会見で大谷(右)の通訳をした水原通訳(撮影・光山 貴大)
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 MLBにはスポーツ賭博と闘ってきた長い歴史がある。ワールドシリーズで主力選手8人が賄賂を受け取り八百長を働いた、1919年のブラックソックス事件。監督を務めるレッズも賭けの対象に含めていた89年のピート・ローズ。MLBでは野球賭博に関わることは、薬物使用以上に罪が重い。

 薬物はあくまで良い結果を残し勝ちたいという動機がもと。しかし野球賭博との関係は八百長につながり、「真剣勝負」をうたう競技の高潔性を否定するからだ。だから球史に残る名選手シューレス・ジョー・ジャクソンもローズも永久追放され、名誉回復はできない。選手は毎年、春のキャンプ中のミーティングで野球賭博や違法なスポーツ賭博に関わるなと厳重注意される。

 一方、米国ではスポーツ賭博が18年に合法化された。カリフォルニア州は依然違法だが、多くの州が独自の規制で容認、スポーツ賭博業界は急速に成長。MLBもスポーツベッティングサイトの「ドラフトキングス」とビジネスパートナーになっている。収益拡大のためだが、一方でギャンブル依存症も大きな社会問題で、関係者は「今は、インターネットで24時間世界中のスポーツに賭けることができる。特に英語ができる人はそうで、依存症になると、そこから抜け出ることは容易ではない」と証言。水面下で、反社会的勢力がスポーツ選手や関係者にアプローチをかけてくるケースも増えていると明かす。

 MLBは過去に野球賭博で苦い経験をした。にもかかわらず、収益拡大のために危うい状況を放置したままにしているのも事実だ。(奥田秀樹通信員)

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