青森山田センバツ初勝利!吉川 木製バットで2安打 サヨナラ呼んだ 青森勢2校そろって初戦突破

[ 2024年3月22日 05:00 ]

第96回選抜高校野球大会第4日・1回戦   青森山田4―3京都国際 ( 2024年3月21日    甲子園 )

<青森山田・京都国際>9回、青森山田・吉川は三塁打を放つ(撮影・大森 寛明)
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 1回戦3試合が行われ、青森山田は京都国際に4―3で9回サヨナラ勝ち。3度目の出場で選抜初勝利を挙げた。吉川勇大内野手(3年)は新基準の低反発バットではなく、木製バットを使用して2安打。9回1死からは中越え三塁打を放ち、決勝のホームを踏む活躍だった。

 甲子園に響いたのは新基準導入でより高くなった金属音ではなく、乾いた木の音だった。3―3の9回1死。吉川が白木のバットで捉えた打球はぐんぐんと伸び、中堅手の頭上を越える三塁打になった。続く伊藤英司(2年)の左前打でサヨナラのホームイン。「うれしい気持ちが素直に出てきました」と劇的勝利を喜んだ。

 実は、新基準の金属バットを一度も手にしたことがない。「こっちの方が飛ばせると思ったので」。昨秋以降は木製バットのみで練習。常に芯で捉えることを意識するようになった結果、インサイドアウトの軌道でスイングできるようになった。思わぬ副産物に、兜森崇朗監督も「引っかけることが多かったが、そうじゃない打撃ができるようになった」と成長を評価。甲子園へは親に買ってもらった日本ハム・松本剛モデルのメープル製バットを10本以上持ち込み、戦いに備えた。

 いきなり結果を示した。初回2死一塁の第1打席で135キロ直球を捉える左前打。9回の三塁打も内角直球に対し、うまく腕を畳みながら捉えた。「体がしっかり反応してくれました」。2安打を許した京都国際の中崎は「低反発より芯に当たると伸びていくなと感じました」と驚きを隠さなかった。

 チームにとっての選抜初勝利で、開幕戦を制した八戸学院光星と史上初となる青森勢2校そろっての初戦突破を果たした。次戦の相手は広陵だが、吉川はひるまない。「勝ったチームが強い。次も勝ちにつながる一本が打てれば」。信じて振り続ける木製バットで、さらなる進撃を期す。(村井 樹)

 ▽主な木製バットでの安打 74年春の選抜大会終了後から、高校野球が金属バットを採用した。78年夏は岡山東商の石岡浩己が2回戦の福井商戦で1点を追う9回1死一、二塁から右中間へ逆転サヨナラ三塁打。打席途中で金属から木製に持ち替えての一打だった。04年春は愛工大名電の鈴木啓友が立命館宇治との初戦で2回に左前打を放った。

 ◇吉川 勇大(よしかわ・ゆうだい)2006年(平18)7月4日生まれ、青森市出身の17歳。新城小1年から大坂クラブで野球を始め、青森山田中では青森山田シニアに所属。高校では1年春からベンチ入り。憧れの選手はオリックス・紅林。50メートル走6秒8、遠投100メートル。1メートル81、85キロ。右投げ右打ち。

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