“新生”創志学園の山口が14三振を奪い完封 門馬監督に贈った春1勝

[ 2024年3月21日 05:00 ]

第96回選抜高校野球大会第3日・1回戦   創志学園7-0別海 ( 2024年3月20日    甲子園 )

<別海・創志学園>4回、ピンチで別海・堺を空振り三振に仕留めた創志学園・山口(撮影・須田 麻祐子)
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 創志学園(岡山)が別海(北海道)を7―0で下して16年以来8年ぶりの初戦突破を決めた。先発左腕の山口瑛太(3年)が14奪三振の好投で今大会完封一番乗りとし、門馬敬治監督に「新天地1勝」を贈った。

 エースが“新生”創志学園を初勝利に導いた。先発左腕の山口が9回4安打14奪三振の力投。今大会一番乗りで完封勝利を挙げた。「荒れた部分もあったけどテンポよく投げられた。落ち着いて冷静に攻め続けることを意識した」。相手打者に考える隙を与えないテンポの良い投球で、先発全員から三振も奪った。

 神奈川県横浜市出身ながら、長沢宏行前監督(現篠山産監督)に誘われて岡山に来た。そして高校1年の時に転機が訪れる。地元の強豪・東海大相模(神奈川)を率いて春3度、夏1度、甲子園大会を制した門馬敬治監督が22年8月に就任。「秋まで時間がない中で不安だな…という思いはありました」。当初は戸惑いながらも名将を信じた。その結果、新体制から1年半で7年ぶりの選抜出場が実現した。

 同監督の信条とする「アグレッシブ・ベースボール」は投手指導にも通じている。「チームのスローガンであるアグレッシブを意識して、常に攻め続けることを考えていました」。その教えをマウンドで体現し、果敢に打者の内角を攻めながら131球を投げ抜いた。

 「監督さんからしたら、まだまだ足りないと思う。次も与えられたイニングを投げきって全国制覇に向けてもう一歩近づきたい」

 恩師に聖地での特別な1勝をプレゼントした。しかし、これはあくまでも通過点。今大会前には門馬監督の教え子である阪神・森下らからはジャージーの差し入れが届くなど後押しも受けた。最高のスタートを切った背番号1が次戦も攻めの投球で白星を引き寄せる。 (山手 あかり)

 ◇山口 瑛太(やまぐち・えいた)2006年(平18)8月10日生まれ、横浜市出身の17歳。小学2年から東ビクトリーズで野球を始めて投手と外野手。中学では都筑中央ボーイズに所属。創志学園では1年夏に背番号11でベンチ入りし、2年秋から背番号1。50メートル走6秒2、遠投95メートル。1メートル72、68キロ。左投げ左打ち。

 ○…創志学園の山口が14奪三振完封。14奪三振は、23年大阪桐蔭(大阪)の前田悠伍が敦賀気比(福井)との2回戦で記録して以来となった。また、甲子園で岡山県勢の投手が2桁奪三振完封は、18年夏に同じ創志学園の西純矢(現阪神)が1回戦の創成館戦(16奪三振)で達成して以来。選抜では65年に岡山東商の平松政次が1回戦のコザ戦で11奪三振完封を記録して以来59年ぶりとなった。

 《指揮官は感慨…「格別」》創志学園の門馬監督は、新天地での甲子園初勝利を「このユニホームでの初めての甲子園でいろいろな思いがありました。格別です」と喜んだ。信条とする「アグレッシブ・ベースボール」を体現するかのように4盗塁を成功。10安打7得点の攻撃陣を「私の緊張が選手に伝わったのか、最初は選手が全く動かなかった。走ることで緊張を解きたかった」と振り返った。前任校で積み上げた甲子園春夏30勝に1勝を加えて通算31勝。歴代監督通算勝利数で原田英彦(龍谷大平安)、北野尚文(福井商)の両氏に並ぶ歴代14位とした。

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