阪神・青柳 食事、栄養、メンタル面まで…活躍は妻のサポートのおかげ 新春インタビュー(2)

[ 2023年1月4日 05:16 ]

活躍は妻のサポートのおかげ
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(1)から続く。

 ――『夢』や『諦めない』とか少し恥ずかしいことも堂々と言っている。

 「自分のやりたいことを人前で言うのは恥ずかしいですよ。僕もプロに行きたいと言った時は“鶴見から行くの?”みたいな反応もありましたけど、ずっと夢を持ち続けたらかなう。そういう子が1人でも2人でもいたらいいので、あえて言うようにしています」

 ――鶴見区の全小学校を回るのが目標。

 「22校ぐらいあるんですかね。この2年で4校。ちょっと校数が多いので元気なうちに回れたら(笑い)」

 ――体力もいる。

 「モノやお金を贈ることは簡単ですけど実際に行って、しゃべる。会うことってすごく大事だと思うので。もっとプロ野球選手を身近に感じてほしいし鶴見区で“青柳に会ったことあるよ”という人が多くなればいい」

 ――講演だけでなく、本の寄贈も。本を贈る前には図書館をわざわざ視察したと。

 「オフで地元に帰った時に自分の母校に寄って、ちょっと図書室を見せてもらっていいですか…と。どんなジャンルの本があるのか見た上で寄贈する本を選びたかったので」

 ――次は家族の話を。夫人の存在は大きい。

 「結婚してから、この4年間、顕著に成績が出ているので。奥さんのおかげと言っても大げさじゃないですし、野球と向き合えるようにしてくれていますね。ストレスなく暮らせているので、献身的なサポートのおかげです」

 ――特にどんなサポートが。

 「気持ちの切り替えもそうですし、食事、栄養面も。寮生活の時は一人でずっとイライラしていましたけど、家に帰って誰かがいるのは大きい。メンタル面の支えも大きいです」

 ――愛妻家の印象。夫人のことはあえてメディアに言っている。

 「みんなが聞くからですよ(笑い)」

 ――毎年、シーズン終わりに感謝のプレゼントを。

 「1年間の感謝を何かしら伝えるようにしています」

 ――夫婦ゲンカなどは。

 「あまりないですね。夫婦って、お互い我慢することあるじゃないですか。そんな感じです。ハハハ」

 ――勝てない時期などは夫人とどんな会話を。

 「結構普通でしたね。“また負けたん”“4点取られたん”とか。野球の話は基本、しない。本当に楽な感じで重い空気もない。一緒に落ち込むこともない。家に帰ったら、普通の家庭というか」

 ――母親の存在は。

 「お母さんが僕の一番のファン。純粋に一番、応援してくれる人を喜ばせたいです。ここまで来られたのはお母さんのおかげ。考え方、行いも僕は母親を見てきているので」

 ――母子家庭であることもオープンにしている。

 「母子家庭とか、貧乏だとかを言い訳にする人もいると思うので、もったいないなと。極端な言い方ですけどグラブも1個あれば3年間野球できたので。“○○だから諦める”よりは、“○○のために頑張る”とか、そういうマインドの方が活力になる。同じ境遇の子供たちにはその環境を言い訳にするのはやめてほしいし、どんな環境でも、やりたいことを続けてほしい。僕は母親にやらせてもらった野球で恩返しできたらと思ってやってきました。これは矢野さんの考えですが、自分のためよりも、誰かのための方が人は頑張れる。自分のためなら諦めちゃうところを、母親のためならもっと頑張れるので」

 ――監督が代わって、もう一度信頼を勝ち取る。

 「もちろん。金本さんの時に入団して、矢野さんの時に1軍に定着して、次、岡田監督になる。監督が代わる時は節目になる。新しい監督が使ってくれるとは限らないので、しっかり勝ち取らないといけないですね」

 《取材後記》

 インタビュー前から聞き手として決めていたテーマは“青柳の脳内”だった。2年連続最多勝を獲得するなど、タイガースのエースと呼ばれるまでになった右腕。プロ入り時に比べて立場や環境が激変した中、どんなマインドで腕を振り、グラウンド外ではどんなことを考えているのかを純粋に知りたかった。

 詳しくはインタビューを読んでいただきたいが、野球の話題以上に問答が弾んだのは地元・鶴見区への恩返しや妻や母親への思いについてだった。共通するのは「利他の心」。夢を見る子供たち、支えてくれる家族のために…“誰かのために”がマウンドで戦う原動力だと感じた。

 「僕はまずは関わった人たちに恩返しをしていきたいんです」。2億円プレーヤーになっても振る舞いは何も変わらず、青柳の持つ利他の精神は強くなっている。今季はどんなパワーを周囲に届けるのか、取材者としてもますます楽しみな背番号17のキャリアだ。(遠藤 礼)

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2023年1月4日のニュース