阪神・湯浅のアツアツ町おこし 「人口減っている」故郷・尾鷲市に凱旋 地元中学生に熱いメッセージ

[ 2022年12月16日 05:15 ]

<湯浅講演会>母校の尾鷲中学校の生徒らの前で講演会を行った湯浅(撮影・岸 良祐)
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 阪神・湯浅京己投手(23)が15日、地元の三重県尾鷲市に凱旋した。尾鷲市民文化会館で午後は母校・尾鷲中と輪内中の生徒計345人の前で講演、夜には一般ファン約800人を対象にした「尾鷲よいとこスタンプ会イベント」に出演。故郷の星としてさらなる飛躍を誓った。

 「尾鷲も人口が減ってきている。自分が頑張ることによって尾鷲の名前が出るようになって、観光客が少しでも来るようになれば、もっと街がにぎやかになると思う。そういった面で頑張りたい」

 強いプロ志望を抱いて尾鷲を巣立ち、聖光学院(福島)に進学。独立リーグのBC富山を経て18年ドラフト6位で阪神入団も3度の腰椎分離症など幾多の壁を乗り越え、4年目の今季は新人特別賞を受賞するまで成長を遂げた。

 「地元をあげて、たくさん応援してくださって力にもなってますし、少しでも応えられるように」

 40年前と比べて人口が約半減した郷里を本当に勇気づけていた。“古巣”の尾鷲野球少年団は約60人が所属した当時と比べて現在22人まで部員が減少。湯浅が活躍した影響で今年は9人が体験会に足を運んだという。尾鷲観光物産協会の梅谷陽子事務局長は「高齢者が多く、コロナで疲弊し、人の動きがなくなって沈んでいた。みんな(湯浅投手の)今年の活躍を喜んで街が元気になった」と強調。今回のイベントは同協会に加盟する地元商店での買い物で入場券との引き換え用紙を配布し、「県外からお客さんが来た…と何軒も耳に入っている。すごい人気」と目を細めた。

 来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では侍ジャパンの一員として世界で戦う可能性もあり、湯浅の躍動は“町おこし”にも結び付く。「少年野球を見ても野球人口が減っているのは感じる。少しでも食い止められる存在になれるように」。強い覚悟とともに来年も再び故郷に錦を飾る日を思い描いた。(阪井 日向)

 ▽尾鷲市 三重県南部、東紀州地域の中央に位置。1954年に北牟婁郡尾鷲町などが合併して誕生。呼称「おわせ」。黒潮が流れる熊野灘に面し、全国有数の多雨地域で年間降水量は約4000ミリ。総面積の90%が山林。20年国勢調査で人口1万6252人。熊野古道伊勢路が通り、「馬越峠道」などがある。

《恩師から手紙でお願い「福島も盛り上げて」》
 ○…「尾鷲よいとこスタンプ会イベント」内では聖光学院・斎藤智也監督からの手紙がサプライズで代読された。「優しくて仲間思いで、縁の下の力持ちをたくさん経験した男だから、ケガにも打ち勝ち進化を続けています。阪神の守護神として、第二の故郷の福島県も盛り上げてくれ!」。成長痛で入学当初はマネジャーからスタート。見守り続けた恩師からの熱いメッセージを受け取った湯浅は「本当に苦しい時期でもありましたけど、なくてはならない時期だった」と感慨に浸った。

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2022年12月16日のニュース