2022年、助っ人外国人は歴史的不振だった…すでに今季支配下登録された63%が自由契約

[ 2022年12月16日 05:30 ]

各球団の外国人合計年俸と合計勝利、セーブ、本塁打
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 今季は総勢79人の外国人選手が支配下登録されたが、期待に応えたのはわずかで、全体の63%にあたる50人が自由契約になった。この結果を招いた助っ人勢の歴史的不振を振り返りつつ、各チームの今季の成績に及ぼした影響を、データを基に考察した。 (記録課・志賀 喜幸)

 メジャー仕込みの技術に加え、打者なら長打力、投手なら球威と、日本選手に勝るパワーで中心選手の一人として期待される外国人助っ人。投手勢は今季も粒ぞろいで、ロドリゲス(中)が45ホールドポイントで最優秀中継ぎ投手、R・マルティネス(中)が39セーブでセーブ王と2人がタイトルに輝いた。パでもポンセ(日)が8月27日のソフトバンク戦で外国人選手では16年ぶりのノーヒッターの快挙。プロ野球82年ぶりとなるシーズン5人目のノーヒットノーランが達成された。

 一方、野手は総じて不調で、特にパは壊滅状態に近かった。今季規定打席に到達した外国人は両リーグを通じ5人で、そのうちパはオグレディ(西)ただ一人。村上(ヤ)が歴代2位の56本塁打を放った陰で、外国人の最多本塁打数はポランコ(巨)の24本に終わり、パに至ってはオグレディとレアード(ロ)の15本だった。パで外国人の規定打席到達者が1人以下は61年の到達者なし以来。パの外国人最多本塁打数が15本以下も、同じ61年(南海・ピートの12本が最多)以来だ。

 2つの不名誉な記録は、ともに61年ぶり。パ・リーグ史上に残る助っ人野手総崩れとなったが、前回はパに外国人野手が合計7人しかいなかった時代のものである。2倍以上の16人の支配下野手を擁しながらの、この結果は寂しい限り。また、今季においては上位の成績といえる前出のポランコ(打率.240=27位)、オグレディ(打率.213=21位)だが、ともに打率は規定打席到達者でワーストだった。両リーグの打率最下位がそろって外国人なのも、79年のギャレット(広=.225=37位)、ミッチェル(日=.233=38位)以来43年ぶりの珍事。今季を象徴する記録になった。

 不振の助っ人に多くの球団が頭を悩ませたが、“出資額”が多いほど痛手は大きかったに違いない。今季の支配下外国人選手の合計年俸が最も高かったのは17億5000万円のソフトバンク。外国人野手3人の合計成績は本塁打が12球団中4位とはいえ23本と主砲・柳田(24本)の本数にも満たず、4投手の合計勝利数は同ワースト2位の6勝だった。中でも、外国人では今季最高年俸3億5000万円のチャトウッド(登板なし)とガルビス(2本塁打)が大誤算。メジャーでの実績通りに両者が働けば、あと一歩で逃したVに手が届いたはずだ。

 逆に、西武の助っ人勢は年俸総額が12球団最安値の3億500万円。しかし、エンス(1億円)は今季外国人で唯一の2桁10勝を挙げ、オグレディ(8000万円)は規定打席に達して15本塁打と前年最下位からの3位浮上に貢献した。
 日本シリーズを戦ったセ、パ両雄の外国人は年俸、成績ともに対照的だった。ヤクルトの助っ人勢は12球団中5位の総額8億1270万円と高い部類だったが、レギュラーシーズンで投手が合計13勝、38セーブを挙げ、打者が合計41本塁打。外国人が勝利、セーブをそれぞれ合計10以上、一発を30本以上は両リーグを通じてヤクルトだけだ。投打の助っ人がそろって活躍した唯一のチームと言える。

 オリックスは外国人が合計6勝、6本塁打で、勝利は12球団で2番目に少なく、本塁打はワースト。シリーズでもワゲスパックが抑えで活躍しただけで、野手は全員登録外と、生え抜きの日本人が奮起した。ただし、外国人の年俸総額は12球団で3番目に少ない4億2500万円。そもそも依存度が低かったオリックスが日本一の座を勝ち取ったのも、今季らしい結末だった。

 外国人野手が低調だった一因には、コロナ下で通常通りのスカウト活動ができなかった上に、チームへの合流が遅れて調整も不十分だったところに、今季の「投高打低」傾向が追い打ちをかけたことが考えられる。既にこのオフ、各球団が着々と助っ人補強を進めており、歴史的不作からの巻き返しが注目される。

 【来季期待の助っ人】

 ≪セでは最速158キロ右腕 巨人のビーディ≫DeNAが獲得する右腕のウェンデルケン(前ダイヤモンドバックス)はメジャー通算144試合で10勝をマークした救援投手。巨人のビーディ(前パイレーツ)は最速158キロの右腕で、メジャー通算58試合で7勝を挙げた先発タイプでローテーション入りが期待される。広島のデビッドソン(前アスレチックス)はホワイトソックス時代の17、18年に26本塁打、20本塁打と連続20号を記録した強打の内野手。中日が獲得した外野手のアキーノ(前レッズ)もメジャー通算244試合で41本塁打とパンチ力十分で、チームの救世主と期待される。

 ≪パではMLB130発の[楽天]フランコ≫ここまで入団が決まった選手の中で最も注目されるのは楽天が獲得した内野手のフランコ(前ナショナルズ)だろう。フィリーズ時代の16~18年に3年続けて20本塁打以上を放つなどメジャー通算923試合で130本塁打の大砲だ。日本一のオリックスはカブスなどで21年に14本塁打、今季は8本塁打を放ったシュウィンデルの獲得に合意。西武が獲得調査を進めているティノコ(前レンジャーズ)は今季、ジャッジ(ヤンキース)にア新記録の62号を打たれたものの、トータルでは17試合で防御率2.18と好投した右腕で、勝ちパターンの一角を担う力は十分だ。

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