“村上year”大団円!ヤクルト連覇 さあ次は56号だ!変化恐れず22歳“神の域”へ

[ 2022年9月26日 05:00 ]

セ・リーグ   ヤクルト1-0DeNA ( 2022年9月25日    神宮 )

<ヤ・D>大量のビールを浴びる村上(撮影・会津 智海)
Photo By スポニチ

 優勝マジックを2としていたヤクルトは25日、2位・DeNAに1―0でサヨナラ勝ちし、2年連続9度目のリーグ優勝を決めた。球団の連覇は92、93年以来29年ぶり2度目で、2年連続最下位からの連覇は史上初。村上宗隆内野手(22)が日本選手最多タイの55本塁打を放つなど、歴史的な打撃でチームを引っ張った。次は日本選手新記録の56号と、球団史上初の2年連続日本一を目指す。

 心底、うれしかった。打席の厳しい顔が、うそのようだ。村上が、歓喜の輪めがけて駆けた。ペットボトルの水をヒーローの丸山和に浴びせ、背中をバンバンと叩いた。あふれる喜びを抑えられず、高津監督を思い切り胴上げした。

 「天まで飛ばしてやろうと思いました(笑い)。もう最高です。凄いうれしいです」

 4番として圧倒的な存在感でリーグ連覇に導いた今季。自身とも闘っていた。昨季は39本塁打で初の本塁打王、リーグMVPを獲得。「出来過ぎたという感覚は全くない。去年の自分より、いい成績を残すことは絶対条件」。厳しく自分に課した。

 本拠・神宮のクラブハウス。試合開始1時間前、村上のスマートフォンから音楽が流れる。「ファイト! 闘う君の唄(うた)を 闘わない奴等(やつら)が笑うだろう…」。中島みゆきの「ファイト!」。過去の自分と闘い、一歩踏み出すことを鼓舞する名曲だ。練習後に食事を済ませ、約10分の仮眠をとるルーティン。今季から「ただのアラーム音で起きるよりは」と選曲。歌詞のように自分に「闘え!」と鼓舞し続けた。

 打撃も過去にとらわれなかった。昨年からフォームもバットも変更。シーズン中に手にしたのは、パドレスの若き大砲フアン・ソトのバットだった。同じドミニカ共和国出身で親交があるサンタナを介し、譲り受け微調整。グリップエンドは操作性の上がるタイ・カッブ型で、昨季に増したバットコントロールで全方向に打ち分け、本塁打量産につなげた。23歳のソトは昨年、オールスターの本塁打競争で大谷を撃破。20年にはナ・リーグ最年少21歳で首位打者を獲得した。身長は村上と同じ1メートル88のメジャーの若きスター。そのバットを元に、日本新の5打席連発、通算150号とシーズン50号を史上最年少で達成するなど、次々と記録を打ち立てた。

 新型コロナウイルス集団感染がチームを襲った7月。7勝13敗と失速した。高津監督には電話で「僕は打てなくてもいい。勝てないのがしんどいです」と吐露。「泣き言を言うんじゃない、そんな姿を見せるな」と叱咤(しった)された指揮官にはこの日、お立ち台から「ムネ、よく頑張ったよ。おめでとう」と称えられた。

 この日は4打数無安打で55号から9試合40打席本塁打なし。日本選手最多56号はお預けとなったが、打率・322、132打点で令和初の3冠王も狙える位置にいる。「押しつぶされそうになるくらいプレッシャーをかけてもらいたい。挑戦できるのは僕しかいない。自分ならできると信じて頑張りたい」。リーグ連覇の立役者は、最後まで自分と闘い続ける。(青森 正宣)

続きを表示

この記事のフォト

2022年9月26日のニュース