カブス・誠也がピンボール・ランニングHR!39日ぶり復帰戦で「初めて」ド派手激走5号

[ 2022年7月6日 02:30 ]

ナ・リーグ   カブス2―5ブルワーズ ( 2022年7月4日    ミルウォーキー )

<ブルワーズ・カブス>9回、ランニング本塁打を放ち、生還するカブス・鈴木(AP)
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 やっぱり神ってる!カブスの鈴木誠也外野手(27)が4日(日本時間5日)、ブルワーズ戦に「4番・右翼」で出場し、同点の9回に5号ランニング本塁打。左手薬指の捻挫による負傷者リスト(IL)入りから復帰し、39日ぶりにプレーしたメジャーの舞台で躍動した。変則的な形状のフェンスで打球の方向が変わって生まれた一打は、同じ名字のイチロー(マリナーズ)が07年の球宴で放ったランニング本塁打と重なった。

 二塁を蹴った鈴木はウィリー・ハリス三塁ベースコーチを見た。腕を回している。

 「止めてって…足がもつれそうだった。回されたので、マジか、と思って走っていた」

 本塁に滑り込む際には、二盗のベースタッチの時に左手を負傷した5月26日レッズ戦の記憶がよみがえったが、無我夢中で突入した。「左手を隠しながら右手で(ベースを)触ろうと思って、右手でタッチ…ん?右手だったかな?分からないけど、何とかケガしないようにスライディングできた」。実際にベースに触れたのは左手。しかし、捕手のタッチをかわして一時勝ち越しの生還を果たし、地面を叩いて喜んだ。

 1―1で迎えた9回。メジャーを代表するクローザーで、今季も両リーグトップの25セーブを挙げている左腕ヘイダーの95・5マイル(約154キロ)のシンカーを捉えた。打球はライナーで、アメリカン・ファミリー・フィールドの中堅左の屈折したフェンスに直撃。大きく右翼方向に転がった。現地のテレビ解説では「外野のフェンスでピンボールした!」と表現。中堅手がもたつき、鈴木は15・4秒でベースを一周した。

 4月17日以来となる5号は「初めてです」というランニング本塁打。米国では「インサイド・ザ・パーク・ホームラン」と呼ばれ、日本選手では4人目で、12年ブルワーズの青木宣親(現ヤクルト)が同じミルウォーキーで米移籍初本塁打で記録して以来だ。特殊なフェンスの形状により打球の方向が変わった「ピンボール弾」は、07年球宴で鈴木姓の大先輩・イチローが記録したランニング本塁打をほうふつさせた。

 カブスは延長10回の末にサヨナラ負けし、鈴木の決勝本塁打は幻に。しかし、7回にも右前打を放つなど4月27日ブレーブス戦以来のマルチ安打もマークし、復帰即4番で奮闘した。デービッド・ロス監督からは「帰ってきてくれて良かった。いいスイングだった」と称えられた。

 米1年目の今季。負傷した5月は打率・211、0本塁打、7打点と不振も経験した。チームも現在ナ・リーグ中地区4位と低迷。「ケガしている間は悔しくて、いろいろなことを思いながら過ごしていた。ようやくこの舞台で野球ができる喜びもある」。巻き返しへ、鈴木の「神ってる」活躍は欠かせない。(笹田幸嗣通信員)

 ▽イチローの07年球宴でのランニング本塁打 1点を追う5回1死一塁、ヤング(パドレス)の直球をはじき返した打球は、AT&Tパーク(現オラクル・パーク)の屈折した形状の右中間フェンスのくぼみに当たり、右翼定位置の方向に転々。中堅寄りでクッションボールを待っていた右翼手グリフィー(レッズ)が逆をつかれ、イチローは本塁まで駆け抜けた。決勝弾となった球宴史上初のランニング本塁打を含む3安打で、文句なしのMVPに選出された。

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2022年7月6日のニュース