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【内田雅也の追球】田中将が首を振った時 “あ、変化球”大山の直感が働いたのかもしれない

[ 2022年5月25日 08:00 ]

交流戦   阪神1-0楽天 ( 2022年5月24日    甲子園 )

<神・楽>6回、大山に先制適時打を打たれた田中将(撮影・北條 貴史)
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 虎の子の1点をたたき出した阪神・大山悠輔には予測や予感までもいかない、ある種の直感が働いたのではないか。

 0―0の6回裏2死二塁、2ボール2ストライクから5球目のサインにマウンドの楽天・田中将大は首を振った。うなずいた後、一度プレートを外し、再び踏んでうなずいた。投げたカッターは外角でも高く、大山はとらえた。投手返しのライナーが中前へ抜け、先制打となったわけだ。

 見落としがあるかもしれないが、この夜、田中が捕手のサインに首を振るのは3度目だった。2回裏先頭、大山への1ボール2ストライクから首を振り、投げたのは外角カッター(ボール)だった。5回裏1死、糸原健斗が2ボール2ストライクから5連続ファウルで粘った後の10球目、首を振って投げたのはスプリッター(フォーク)。糸原は中前打している。

 首を振った後は変化球だった。この傾向を大山も感じていたのではないだろうか。または事前にスコアラーから報告されていたかもしれない。野村克也が阪神監督時代、首を振った後の球種を調査させ、根づいている。

 以前の田中は――大リーグ・ヤンキース移籍する前は――首を振って投げるのは直球だった。2009年6月3日の阪神戦(仙台)では首を振って投げた5球はすべて直球で、最後に桧山進次郎が逆転を呼ぶ三塁打を放った。あの夜、当欄で<狙い打った>と書いた。当時楽天監督の野村も「本格派なんだから、首振りゃ“あ、直球”と思うわ」と話したそうだ。

 時は過ぎ、田中も33歳。年俸9億円の大投手で老練の技巧を備えている。かつてはサインに強く首を振り、強くうなずいていたが、今ではいずれもやわらかくなった。

 これらは、あくまで野球記者の目と感覚だ。ただ13年前は直球と思い、この夜は変化球と思ったのは本当である。大山も“あ、変化球”と直感したのではないか。首振り後カッターは彼にとって、この夜2度目だった。

 試合はのべ14人の走者を出しながら5投手を含めた守備陣がよくしのいだ。大山、島田海吏、植田海の美技があった。今季5敗も味わっていた1―0試合での初勝利は意義深い。交流戦は阪神浮上の場となるかもしれない。これも野球記者の直感である。=敬称略=(編集委員)

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