「勝ちながら育てるのが一番難しい」「気持ち切らさないように」ソフトB藤本監督、有言実行の世代交代

[ 2022年4月20日 07:30 ]

ソフトバンク・藤本監督
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 ソフトバンクの藤本博史監督(58)が口酸っぱくテーマに掲げていた「世代交代」が着々と進行している。育成と勝利。どちらも欠かせないチーム状況だが、有言実行の将は次々と若鷹にチャンスを与え、新しい風を吹かせている。

 思い返せば3月25日、日本ハムとの開幕戦。スタメンには15年連続で「三塁・松田」や、中村晃、今宮など、これまで常勝軍団を築いてきた中堅、ベテランが名を連ねた。これは「競争」を促したオープン戦で結果を残したからこそ。異論はなかった。その半面、指揮官は「世代交代と言われている中でも、メンバーが全然変わってないと言われる可能性もある。でも、野手17人の中は変わっています。去年の開幕の17人と今年の控えの選手はガラッと変わっている。その中で追い上げていかないといけない」とスタメン漏れの選手に競争激化を促してきた。

 シーズンが進む中で、若返りが見えたシーンは数多い。切り込み隊長に任命された三森がプロ初本塁打を含む2本塁打(19日現在)。ドラフト4位の野村勇は代走で「神走塁」を連発している。同じくドラフト2位の正木は昇格即、3番で出場した。柳田、栗原の離脱も背景にあるが、3年目の柳町はスタメンに固定されつつあり、実績十分の上林も好調をキープ。「結果を出せば使ってもらえる」。その一心が大きなモチベーションになるのではないか。

 野手だけではない。高卒2年目右腕の田上が12日のロッテ戦でプロ初登板初先発で6回途中無失点と好投。育成出身の大関、藤井、尾形が次々とプロ初勝利を挙げるなど若鷹の台頭は著しい。相次ぐ抜てきの裏には指揮官の強い信念がある。

 「当然、試合に勝たないといけない。負けても育ったら良いというのはでない」

 実績のある選手たちも黙っていない。松田は8日の日本ハム戦で、17年連続で記録した三塁打が決勝打となった。今宮はここまで全試合に出場し、中村晃はいぶし銀の活躍で3番に座っている。投げてはエース千賀が3勝、石川、東浜の軸も固まっている。

 若手とベテランの融合。常に叫ばれる課題だが、世代交代の過渡期には特に難しい。「勝ちながら育てるのが一番難しいことであり、大事。気持ちを切らさないように、選手のテンションを下げないように、雰囲気を良くしながらできたら最高」と藤本監督。11年間の指導経験が今、1軍監督としての手腕に生かされている。(記者コラム・福井 亮太)

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