ノムさん孫・野村沙亜也さんの夢 野村家のDNA、大谷の活躍に触れ「野球で日米の懸け橋に」

[ 2022年1月26日 05:30 ]

生前の野村克也さんと仲むつまじい様子の沙亜也さん(本人提供)
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 20年2月に84歳で死去した野村克也氏の孫で、昨季までエンゼルス球団職員の沙亜也さんがスポニチ本紙の取材に応じた。昨年12月11日に神宮球場で行われた「しのぶ会」に出席し、祖父が野球界に残した数々の功績に改めて感銘を受けた。今オフに、日本で女子硬式野球チーム「アサヒトラスト」に入部するなど活動の幅を広げており、野球を通じて日米の懸け橋となる夢を語った。

 雲一つない青空が広がった神宮球場は美しかった。昨年12月。亡き祖父のために関係者600人、約2800人のファンが献花に訪れた。沙亜也さんは「祖父が今なお愛され、尊敬されていることを知り、感動しました」と振り返った。

 父は広島、日本ハムでプレーしたケニー野村氏で、野村克也氏の継子にあたる。沙亜也さんはロサンゼルス育ちで今も日本語より英語が得意だが、日本人としての誇りや文化は克也氏から学んだ。「よく自分の貧しかった生い立ちについて話してくれました」。テスト生から戦後初の3冠王に上り詰めた克也氏。「努力することと、感謝の気持ちを忘れないことが大事。夢を持つことが大切だ、と」。いつだって人生の手本は祖父だった。

 沙亜也さんは18年6月からエンゼルスの球団職員として本拠地での観客案内などに従事。同年には「最優秀従業員」として球団から表彰された。同年に入団した大谷とは直接的な交流はないが、昨季に満票でア・リーグMVPを受賞した活躍に間近で触れ「信じられないくらい興奮した」。生前の克也氏が大谷にインタビューする映像も見て、2人に大きな刺激をもらった。

 このオフ、沙亜也さんは大きな決断を下した。エ軍球団職員を退職し、拠点を米国から日本に移した。スポーツ関連企業「POD株式会社」に入社し、アスリートのマーケティングを担当。さらに、女子硬式野球チームの強豪「アサヒトラスト」への入部が決まった。

 本格的に野球に取り組み「2、3年」というが、力強い打撃が持ち味。チーム関係者は「女子野球界では速い120キロ台のボールも打ち返せるスイングスピードがある」と証言した。強肩を生かし守備は内野か外野を任される予定で、背番号は祖父の現役時代と同じ「19」に決まった。

 17年12月に死去した祖母の野村沙知代さんからも一人の女性として厳しく育てられ「感謝している」という。「夢はNPO法人を立ち上げて、野球を通じて地域を盛り上げること。野球で日米の懸け橋になりたい」。胸には祖父からの教えが深く宿っている。(柳原 直之)

 ≪女子野球競技人口増加もプロは…≫女子野球の競技人口は近年増加しており、昨夏には全国高校女子硬式野球の決勝が初めて甲子園で開催された。プロ野球では西武、阪神に続き、巨人が昨年12月に女子チームの創設を表明した。一方、10年に発足した女子プロ野球リーグは退団者が続き、昨年末に無期限休止を発表。侍ジャパン女子代表はW杯6連覇中と活躍しているが、コロナ禍の影響などで今年の開催は既に中止が決定した。

 ▽アサヒトラスト女子硬式野球部 07年創設。関東女子硬式野球連盟に所属。同連盟が主催し、女子アマ球界トップレベルとされる「ヴィーナスリーグ」で1部所属の強豪。侍ジャパン女子代表を多数輩出している。昨夏の全日本女子硬式野球選手権大会では、2回戦で西武レディースに敗れた。茨城県つくば市に専用グラウンドを保有。運営会社は物流ソリューションサービスのアサヒ産業株式会社。

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