ソフトバンク・森ヘッドC新春3つの誓い 選手を戸惑わせない、チーム内調整、競争は「目」で判断

[ 2022年1月3日 05:30 ]

ソフトバンクの森浩之ヘッドコーチ(左)と藤本博史監督

 ソフトバンクの森浩之ヘッドコーチ(56)がスポニチの新春インタビューに応じた。今年は2年ぶりの同職復帰で南海時代からの先輩・藤本博史監督(58)を支える。選手を惑わせない指導がモットー。監督、コーチ、選手の橋渡しをになう要職でもある。前回ヘッド時代の19、20年には工藤監督のもとで連続日本一を達成。弁の立つ癒やし系ヘッドコーチに、今年に懸ける思いを聞いた。(取材・構成=井上 満夫)

 ――20年以来のヘッドコーチ復帰になった。現職におけるモットーは。
 「選手を戸惑わせない。迷わせないのが一番。あとは信念を持って自分に自信を持って動く。ヘッドになってから間違ったことに対しては頑固にならず、しっかり謝れるようになった。認める心を持つ。そういう気持ちも入ってきている。若い頃は“やれ!やれ!”とやらせていたが、変わってきているね」

 ――19年に初めてヘッドになり、2季務めて2年連続日本一に貢献した。当時から、感じていたことは。
 「監督と選手とコーチの間に入る難しさを感じた。人間関係に気を使うところもある。監督の思いをどうコーチ、選手に伝えるか。選手の意見を吸い上げて監督にどう伝えるかだが、最終的に表現するのは選手。そこが大事で、選手がやりやすい環境をつくってあげる。監督が選手を使いやすいようにコーチの意見も聞きながら整備をする。そこも、難しいところでもあるよね」

 ――ヘッドコーチとしての理想像とは。
 「僕の中には、達川(光男)さん(17、18年にヘッドコーチ)の教えがある。常に監督を見ていながらも、最終的には選手の方向を見てあげて、選手の味方になるようにと習った。そこは勘違いしたらあかんぞ、と。この言葉は今も大事にしている」

 ――来季は新任のコーチも多い。指導者に期待する部分とは。
 「僕は現役のときに実績のなかった人間。実績をつくった人間は自分の考え、形を教えたがるが、それは本人しかできない。本人がやったことを伝えるのは一選手。“こうだ”と押しつけると選手はしんどいと思う。やるのはいいが、合わなければやめておけと言える勇気を持つ。コーチ陣には、押しつけないようにしてもらった方がいいんじゃないか、とも話し合ってきた」

 ――藤本監督は南海ホークス時代からの同僚。どんな先輩か。
 「いい方。人の話を聞けて“これ”と思えば、やり通す力のある方。選手はたぶん、やりやすいと思う。そこで、なあなあになっていかないように。聞く耳を持って修正できるのが監督なので、デンとどっしりしていただいていけるように、ヘッドが整えられるようにね」

 ――2月1日から春季キャンプが始まる。選手間の競争は監督らとどこを見るのか。
 「まずは“目”で判断し、そして数字。自主トレをちゃんとやってきて動けているか、元気があるか。コーチ陣と目で見てみる。そのあとは実戦形式での結果。紅白戦、オープン戦、数字を比較して監督の判断のもと絞っていく。A、B組にはじめは分かれるが、入れ替わりもあると思う」

 ――日本一、V奪回に向けてタフな右腕、又吉を中日からFAで獲得。昨季途中で帰国した先発要員、コリン・レイも戻ってきた。投手陣をどう見ているのか。
 「又吉はセ・リーグで実績を残しているし心配はしていない。マルちゃん(マルティネス)の不在は痛いが千賀がいる。レイは制球力は的確だし。まずは、先発陣の頭数をそろえていきたい。そこも競争してほしい。今まで投手陣で優勝してきたチーム。投手を助けるようなチームづくりをしていかないといけないかなと。そうすれば、またみんなで日本一を喜べると思う」

 ◇森 浩之(もり・ひろゆき)1965年(昭40)2月4日生まれ、大阪府出身の56歳。PL学園中から同高に進み捕手で2、3年春の甲子園優勝。東洋大で大学日本代表主将。86年ドラフト2位で南海入団。通算28試合、4安打、6打点、打率.108。91年の引退後はブルペン担当コーチ、ブルペン捕手、2軍コーチ補佐(バッテリー担当)、3軍バッテリーコーチ、スコアラー、1軍作戦コーチ兼バッテリーコーチ補佐を経て19、20年は1軍ヘッドコーチ。21年は3軍監督。趣味はTikTok動画観賞とゴルフ。1メートル77、79キロ。

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