エンゼルス・大谷 残り試合は登板せず打者専念 決断の最大のポイントは?

[ 2021年10月1日 02:30 ]

<レンジャーズ・エンゼルス>ベンチで打席の準備をする大谷(右端)とマドン監督(左)=撮影・沢田 明徳
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 エンゼルスの大谷翔平投手(27)が今季の残り試合で登板しないことが29日(日本時間30日)、決まった。自己最多の2桁10勝、1918年のベーブ・ルース以来の「2桁勝利&2桁本塁打」にあと1勝届かず、歴史的快挙は来季以降に持ち越しとなった。決断の最大のポイントになったのは、球団が目安としていた130投球回に前回登板で到達したことだった。

 10日前、ジョー・マドン監督は最終判断に向けてのヒントを示していた。大谷の残り登板について「あと2度先発すれば、来年は150イニングくらいは快適に投げられるかもしれない」と言及。その言葉通り2度登板し、今季の登板を終えた。

 この日のレンジャーズ戦前、大谷はまずマドン監督、その後にペリー・ミナシアンGMと話し合い、今季残り試合の登板回避を伝えた。日程的には中6日で10月3日(日本時間4日)の今季最終戦の敵地マリナーズ戦に登板可能だった。指揮官は「彼がシャットダウンするのに正しい時だと感じたから、そうすることにした」と最終的に本人の意思を尊重した経緯を説明。その上で指揮官は「彼は130回を力強く投げフィニッシュした。130回はとても良い数字だ」と「130」の意義を強調した。

 大谷は前回登板の26日マリナーズ戦で、130回1/3に到達。右肘じん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)から復帰1年目の昨季投球回はわずか1回2/3だった。近年の大リーグでは投球回を急激に増やすのは故障再発防止の観点からタブーとされる。目安のイニング数をクリアし、しかも9勝2敗、防御率3・18の好成績でエースの地位を確立。打っては45本塁打と、今季が二刀流継続の分岐点と目された中で、最高のパフォーマンスを見せた。マドン監督は21日、大谷の二刀流を前提とした先発6人制を来季も敷く方針を明かし「それ以外のことは考えていない」と言った。

 大谷は3度目の10勝目挑戦となった前回、7回1失点で10奪三振と力投しながら白星が付かなかった。次の登板については「どうなるかはまだ分からない」と珍しくトーンが上がらなかった。既に気持ちの整理がついていたのかもしれない。今季は残り4試合。本塁打王争いは48号を放ったトップのペレス(ロイヤルズ)に3本差に広げられたが、打撃に集中して逆転に挑む。

 ミナシアンGMは故障の可能性を否定し「私は彼がまた別のレベルに到達すると思っている。来年の活躍が楽しみでならない」と期待を寄せた。順調なら来季の開幕投手の最有力候補。「打者・大谷」に先んじて「投手・大谷」は、二刀流のさらなる進化に向けて踏み出している。(柳原 直之)

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