トヨタ自動車 都市対抗7年連続の本戦出場決定 4番・中村がグランドスラムの大仕事

[ 2021年10月1日 20:24 ]

第92回都市対抗野球大会東海2次予選第3代表決定戦   トヨタ自動車8―1JR東海 ( 2021年10月1日    岡崎市民球場 )

5打点を挙げる活躍を見せたトヨタ自動車・中村健人
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 トヨタ自動車がJR東海に快勝し、7年連続23度目の本戦出場を決めた。勝敗の分岐点となったのは2―1で迎えた5回。2死満塁から、4番・中村健人外野手が大仕事をやってのけた。

 「四死球でも1点が入る場面。自分がつなぎさえすれば1点入るということで、良い意味の開き直りがフルスイングとなり最高の結果を出すことができました。なかなかうまくいかなかったのですが、やっと一つ仕事をできたかなと思います」

 カウント2―2からの6球目だった。戸田公星が投じた外角のカットボールをフルスイング。両翼99メートルという広さをものともせず、左翼席へと放り込んだ。自身の大会1号は渾身(こんしん)のグランドスラム。初回の左前適時打と合わせ5打点の猛爆で、第3代表の座をたぐり寄せた。

 苦しみ抜いた2次予選だった。過去4試合は15打数2安打1打点。フィジカル面での調整が思うようにいかず、結果を出せない日々が続いた。だが、練習から持ち前の明るさを失うことなく、全力で一つ一つのメニューを消化。試合に入れば最大の長所であるフルスイングを貫き、主砲としてあるべき姿を示し続けた。「信じていました。この壁を乗り越えたことは、彼にとってもチームにとっても本戦に向けて大きな力になる」。藤原航平監督は自らの手で苦境を打開した4番を称賛した。

 投打の歯車がかみ合った一戦となった。先発・諏訪洸が3回を1失点でしのぐと、4回からは渕上佳輝が登板。西濃運輸戦から中3日でのマウンドとなったが、6回を1安打無失点という完璧な投球でエースとしての役割を全うした。

 「全試合を2点以内に抑えられた。投手陣はもちろん、内、外野ともよく守って踏ん張ってくれました。逆転が2試合。打線も最後まであきらめず、苦しんだ中で勝利をもぎ取ってくれました」

 トヨタらしさを全面に押し出し、守りから攻撃のリズムをつかんでいった。藤原監督が振り返ったように、予選5試合で計7失点。正捕手・高祖健輔が投手陣の持ち味を引き出すと、遊撃手・和田佳大をはじめとする内野陣は再三にわたり好守を見せた。俊足揃いの外野陣は無失策。課題の一つとされていた長打力も、3本塁打を含む10本と日本選手権からの成長を感じさせた。

 「昨年は1回戦敗退。東京ドームで勝つために、ここまでやってきました。ここからが勝負。課題を探しながら、やっていきたい」

 勝利の余韻に浸ることなく、指揮官は11月28日に開幕する本戦を見据えた。思いは一つ。5年ぶり2度目の優勝へ、チーム一丸となって突き進む。

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