日本ハム・伊藤大海、10勝目スルリ 「試合を支配できなかった」2桁勝利新人一番乗りお預け

[ 2021年9月16日 05:30 ]

パ・リーグ   日本ハム3―3西武 ( 2021年9月15日    メットライフD )

<西・日>走者を出しながらも4回も無失点で切り抜けた伊藤(撮影・篠原岳夫)
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 日本ハムの伊藤大海投手(24)は、15日の西武戦で5回7安打2失点と粘りの投球で勝利投手の権利を持って降板したが、チームが引き分けに終わって両リーグ新人10勝一番乗りはならなかった。この日は慎重さのあまり5回で104球と球数がかさんで早期降板。134球の熱投で西武相手に初完投初完封を飾った8月29日の再現はならず、次回登板で10勝目を狙う。

 最後の最後は慎重さが吉と出た。序盤から「一発を浴びたくない」と警戒するあまりに球数がかさみ、4回を終えて83球。5回も栗山に1点差に迫られる中犠飛を許し、なおも2死二塁で山川。自身最終回となることが見込まれたところで最後の力を振り絞った。

 「あれ以上の失点は許されない場面。投げ切るか、投げ切らないかで大きな違いがある。悔いの残らないように自分の思った通りに投げたかった」

 山川は初球の直球に対し、ヘルメットを飛ばすほどの豪快な空振り。続くスライダーはファウル。ともにタイミングが合っていた。そのためカウント1―2からは間合いを嫌ってセットを外し、2―2からは捕手・清水を呼んで意思のズレがないようにサインを確認した。石橋を叩いて渡るかのごとく慎重に選択した104球目は、146キロ直球で空振り三振に仕留めた。

 ここまでチーム最多9勝を挙げる中、現状に満足せず新たな試みもあった。これまで投手板は三塁側いっぱいを踏んできたが、前日の投球練習で「拳1個分」中央寄りを踏むスタイルに好感触をつかみ、初回に試した。しかし、三塁側いっぱいを踏む相手先発・本田との土の掘れ具合の差が気になり、2回からは元の位置に変更。「ボール自体は(中央寄りに)ずらしている方が良かった」としたが「後手後手に回った。そんなに自分の投球をする暇がなかった」と振り返った。

 2~5回は毎回走者2人を背負い、7安打を浴びた。「かわして、かわしてそれ以上できることがなくなった」と話したが、本調子ではない中でも大崩れしなかった。それでも高みを見据える右腕は言う。「これじゃダメ。自分が求めるものがあるので、全然納得できる内容ではない。試合を支配できなかった」。こんな思考を持つ伊藤なら、10勝到達は単なる通過点にすぎない。(東尾 洋樹)

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2021年9月16日のニュース