栗山巧、西武生え抜き初の2000安打 プロ野球史上54人目の快挙 プロ3年目で初安打から17年

[ 2021年9月4日 17:00 ]

パ・リーグ   西武ー楽天 ( 2021年9月4日    楽天生命 )

<楽・西>通算2000本安打を達成してボードを掲げる栗山 (撮影・白鳥 佳樹)
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 西武・栗山巧外野手(38)が4日、楽天戦(楽天生命パーク)に「6番・DH」で先発出場し、9回の第4打席、楽天4番手・牧田から安打を放ち、プロ野球史上54人目となる通算2000安打を達成した。

 栗山はかつてのチームメートとの対決となった第1打席、岸の投じた6球目、真ん中低めのカーブを打ち上げ中飛。第2打席では外角高め144キロのストレートに合わせるが、平凡な左飛に倒れた。

 6回の第3打席では1死満塁のチャンスに岸の投じた初球、外角へのチェンジアップを捉えセンター方向へ大きな打球を飛ばすも中堅手・辰巳にキャッチされ惜しくも中犠飛。これで岸との対戦成績は30打数3安打の打率・100となった。

 9回の第4打席はこちらも元チームメート・牧田と対戦。4球目、外角へのカーブを逆らわず逆方向へ左前打。一塁ベース上で花束を受けとると笑顔で声援に応えた。

 ライオンズを愛し、ライオンズに愛された男・栗山が、生え抜き初の通算2000安打に到達した。

 「うれしいもの。やってきたことが、間違っていなかったと安堵する、そういうものかな」

 2000の「H」ランプを灯してきた栗山にとって「安打とは」の問いに対する答えだ。その中で印象に残る1本──。栗山の脳裏には、プロ初安打の記憶が深く刻まれている。

 プロ3年目だった04年9月24日。同年限りで消滅した近鉄最後のホームゲーム(大阪ドーム)だった。シーズン最終戦に「9番左翼」でプロ初スタメン。すでに順位も決まっていたが、自分は1軍でやれるのか──、ヒットを打てるのか──、という大きな不安と、どれだけやれるのかという期待。様々な思いを抱えた背番号「52」の若獅子は7回の第3打席で小池秀郎から右前打を放ち、偉大な記録への第1歩を踏み出した。

 「1」を背負った08年に最多安打を獲得し、日本一に貢献。優勝パレードで多くのファンが喜ぶ姿に「もう一度優勝したい」と誓った。同年代の多くの選手がFA移籍する中、16年オフに「権利を持っているだけで“もしかしたら出ていってしまうのかも”と思われるかもしれない」と、あえて海外FA権を行使して残留。「生涯西武」の道を選んだ。

 この決断が、ライオンズの歴史に新たな1ページを刻んだ。西武は、これまで球史に残る名選手を数多く輩出してきたが、05年創設で歴史の浅い楽天を除く11球団で唯一、生え抜きでの通算2000安打到達者が不在。秋山幸二、清原和博、松井稼頭央、和田一浩はいずれも移籍先で大台に到達した。

 「具体的には考えていなかったけど、プロとしてやっていく中で2000安打という目標があるのは知っていましたし、いつかそういうのが目指せる選手になりたいなとは思っていました」

 若かりし頃に朧気ながら描いた大記録。栗山は圧倒的な練習量で磨き上げた「巧」な打撃で、プロ20年目に、ついにたどり着いた。

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