阪神・大山 「死ぬ気で」打った執念V撃 バット折れても折れない心で12戦ぶりタイムリー

[ 2021年9月2日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神2ー1中日 ( 2021年9月1日    甲子園 )

<神・中(16)> 6回、大山はバットを折りながらも右前適時打を放つ(撮影・大森 寛明)
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 やっと打った!やっと勝った!阪神は1日の中日戦に2―1で競り勝った。「6番・三塁」で2試合ぶりに先発復帰した大山悠輔内野手(26)が同点の6回2死一、三塁で自身12試合ぶりの適時打となる決勝打を放った。不振が続く中、好機で「死ぬ気でいきました」と執念を示し、チームの連敗を4で止めた。

 いつ以来だろうか。久しぶりに甲子園のお立ち台に立った大山が発した言葉には、思いが凝縮されていた。「あそこは死ぬ気でいきました」。主将の執念がこもった一打だった。

 「前の打席で本当に自分の中でふがいない思いがあったので、何とかしないといけないという気持ちだった。3ボールでしたが、直球が来たら打つという気持ちが良い結果につながったと思う」

 6回だ。同点に追いつき、なおも2死一、三塁。3ボールから果敢に打ちに出た。田島が投じた外角直球。ボール気味だったかもしれないが、もう関係ない。バットを折られながらも不退転の気持ちでボールを押し出した。執念で右前へ。8月18日DeNA戦以来12試合43打席ぶりの適時打が決勝打となった。

 打席に入る直前に北川打撃コーチから「弱気にならずとにかく前向きに。悪くないから仕留めることだけを考えていけ」と背中を押され、その有言実行が生んだ一撃。矢野監督からも「あそこで振らないようでは、俺たちの野球じゃない」と称えられた。

 悔しさを糧にした。初回2死満塁の先制機では松葉のチェンジアップを引っかけて投ゴロ。さらに1点を追う4回1死一塁でも二ゴロ併殺…。苦い思いは必死にポーカーフェースの下に隠し、雪辱の機会を待った。そして結果で取り返した。

 8月24日のDeNA戦で14号2ランを放って以降は、得点圏で9打席連続無安打。この日を含めても、得点圏打率・202はまだ規定打席到達者でリーグ最下位だ。だから試行錯誤を続ける。全体練習前には佐藤輝らとともに、連日の早出特打を敢行した。フォームを確認しながら精力的に振り込み、不振、弱気、邪念を振り払うかのように汗を流した。

 「いろいろ意識して取り組んでいる。早出もコーチや裏方さんが手伝ってくれているからできること。その方々の思いを無駄にしないように。今日は良いところで1本出て少し恩返しができたかなと思うので明日からも続けていけるように」

 とはいえ、まだ喜べない。本来の実力に、数字が付いてきていない。猛虎の主砲は大山のみ。その復調が、チーム再浮上の号砲だ。(長谷川 凡記)

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