久々にトレード期限で見せた「ヤンキースらしさ」で増えた楽しみ

[ 2021年8月2日 12:28 ]

ヤンキースに移籍し、早速結果を出したリゾ(AP)
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 ヤンキースは、やはりヤンキース―――。近年は、資本にものをいわせたチームづくりの印象は一時より薄れた東海岸の名門チームだが、今年は7月30日のトレード期限を前に積極的な補強を見せてくれた。レンジャーズから今季25本塁打のジョーイ・ギャロ、カブスから同14本塁打のアンソニー・リゾという左のスラッガーを獲得(成績は、いずれも移籍決定時)。この2人を加えたことで、右打者ばかりなのが弱点とされてきた打線はバランスの良いものになった。

 期待通り、リゾはトレード直後の30、31日のマーリンズ戦で2試合連続本塁打を放っている。ア・リーグ東地区で首位レイズに7ゲーム差、ワイルドカード争いでも3ゲーム差と厳しい位置にいるヤンキースにとって、この2人を加えたトレード期限は重要な分岐点となる可能性もありそうだ。

 今夏の補強が2人にとどまらず、エンゼルスからアンドリュー・ヒーニー投手を獲得して少し驚いたファンもいたかもしれない。今季のヒーニーは大谷らとともにエンゼルスの先発ローテーションを守ってきたが、18試合で6勝7敗、防御率5・27と、成績はもう一つ。防御率はこの4年間でもワーストで、台頭期の期待度は既に薄れた感がある。

 ヤンキースの先発陣はコール、モンゴメリー、タイヨン、ヘルマンが中心となり、故障離脱しているクルバー、セベリーノも、もうすぐ復帰の予定。チーム内でも弱点とされていたわけではなく、ここでヒーニーを加える必要があったのか。

 これに関して、アーロン・ブーン監督は30日の記者会見で、こう説明していた。

 「(ヒーニーを)加えられてエキサイトしている。彼のような投手は投手陣の層を厚くしてくれる。この時期は層の厚さが大事。投手陣が十分すぎることはないんだ」

 実際に故障者は出るもので、クルバー、セベリーノの復帰路線も順調に運ぶとは限らない。先発の頭数はそろったとしても、左打者対策としてヒーニーをブルペンから起用することもできる。先発の軸の1人ではなく、あくまで「保険」のような形で実績ある左腕を加えておくことは、いずれプラスになるという考え方なのだろう。

 30歳のヒーニーの年俸は今季675万ドル(約7億4300万円)と比較的安価で、今季終了後にFAになる選手。また、ギャロ、リゾの今季年俸は前の所属チームが支払うということで、新たに加入した3人を合わせても金銭面の負担は小さい。もちろん放出した若手有望株が他チームで開花するリスクはあるが、年俸総額を大きく増やさずにこれだけの戦力補強が可能になったのであれば、少なくとも現時点でヤンキースのトレード期限は成功だったように思える。

 今後、ギャロ、リゾ、そしてヒーニーが新天地ニューヨークでどんな活躍をするか。ヒーニーに関しては、7月の1試合が雨天中止になった関係で、今月16日(日本時間17日)に1試合だけ行われるヤンキース対エンゼルス戦で、仲の良かった大谷と対決する可能性もある。名門球団が巧みに展開した一連の補強策で、また新たな楽しみが増えたことは間違いなさそうだ。 (記者コラム・杉浦 大介通信員)

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