片岡篤史氏が徹底分析 阪神・佐藤輝 本塁打量産の秘密は「直球系でも変化球でも頭が動かないこと」
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目下60試合で16本塁打の阪神・佐藤輝明内野手(22)の打撃を、本紙評論家・片岡篤史氏(51)が分析した。4月14日の広島戦で森下の113キロのカーブを打った4号本塁打と6月6日のソフトバンク戦で泉の139キロの直球系(ツーシーム)を打った15号本塁打の打撃フォームを比較した片岡氏は、初動からの「タメ」と「割れ」を評価した上で、緩急に動じず本塁打を量産できる要因として「頭の位置」に着目した。
初動は結果球に関係なく、共通している。(1)の自然体の構えから(2)、(3)でしっかりと体重を軸足に乗せ、(4)、(5)で割れをつくって、軸足に体重を残しながら右足を踏み出して行く。そして(6)で頭の位置が同じまま回り始めている。体の近くから左肘とグリップが出てくるのでバットが体から離れない。離れるほど遠心力で力が逃げるが、近くからグリップが出てくるために力が逃げない。後ろの無駄な動きがない分、前も大きくなる。(6)以降は直球系と変化球で対応が変わってくるが、変わらない部分がある。それは「頭の位置」だ。
まずは直球系の場合だ。これが基本形の打撃フォーム。終始、中心がズレることなく、その場で回ることができている。(6)以降を見てもグリップが体の近くを通り、前の(両腕の内側で形作る)三角形が体から離れない。頭の位置が後ろにあってバットが前に出て行く<12>、<13>(上の写真の直球系のフォーム)は最高の形。体を残してバットを前に出すというのは言葉にするのは簡単だが、容易ではない。力がないとできないスイングで、背筋力の強さが、うかがえる。
次に緩い変化球の場合。写真では少し前にズラされているが、泳がされてはいない。並の選手なら前にズラされると頭の位置も前に行ってしまい、割れがなくなる。だが佐藤輝は頭の位置が必ず後ろにあるので、バットが前に出てくる。加えて軸足のかかとが浮くことなく、我慢できている。ここに少々、前にズラされても対応できる懐の深さがある。軸足の裏がすぐに捕手側に見えてしまうといけないのだが、<12>~<14>(下の写真の変化球系のフォーム)で軸足の親指が頑張っている。これが飛距離が出る要因だ。ヘソの前をバットのヘッドが通過していく形をつくれているから、ボールが飛んでいくわけだ。
基本的には直球系の打ち方で打席に臨み、変化球でタイミングがズレると自然とポイントが前になる打ち方に移行するのだろう。いずれにしても頭の位置が前に出ず、ボールを後ろから見る形にできていることが大きい。グリップが体の近くを通り、ボールに対してヘッドが外からかぶることなく内側からバットを出せるため、引っ掛けたゴロにならず打球が上がり飛ぶ。逆方向にも強い打球が行く。これは柳田悠岐(ソフトバンク)と共通する。このままいけば03年に村田修一(横浜)が記録したドラフト新人セ・リーグ最多の25本を抜くであろうことは、想像に難くない。歴史に残る選手になる可能性がある。(本紙評論家)
≪他の長所も解説≫片岡氏は「頭の位置」に加え、佐藤輝の長所として「詰まるのを恐れない姿勢」と「近いポイントで打てる点」を挙げた。「理想としてこういうスイングをしようと練習や素振りを繰り返す、ボールが来ないし、自分のタイミングで振れるからだ。だが試合になると詰まるのが嫌だとか、強く打ちたいだとか、そういう気持ちになる。普通は一度でも詰まると、それを避けようとしてしまう」。そう話した上で「佐藤輝の一番の持ち味は、詰まるのを恐れないこと。試合で詰まっても絶対にスタイルを変えない。三振してもスイングが同じ。常に自分のスイングができるという点が佐藤輝の強みだろう。彼の大きな長所だ」と評価した。加えて体に近いポイントで打てる点も高く評価。「(4月9日)横浜スタジアムの場外弾、(5月7日)同じ横浜スタジアムで内角高めを打った本塁打。あれほど近いポイントで、あのボールをさばくことができる左打者というのはプロ野球全体でも、そうはいない。ポイントが近くで打てるということは余分な動きがないということだ。右肘もうまく使えている」と絶賛した。
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