【21年版・球界“新”士録8】楽天ドラ3・藤井 挫折越え…同志DeNA・上茶谷と投げ合いたい

[ 2021年1月23日 10:00 ]

社会人を経てプロへの道を切り開いた藤井(撮影・西尾 大助)
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 今度こそスポットライトを浴びる。大学、社会人を経て、念願のプロ入り。経歴を見れば「エリート」だが、何度も挫折を味わっただけに期するものは強い。

 東洋大では同期のDeNA・上茶谷、ソフトバンク・甲斐野、中日・梅津、オリックス・中川圭の陰に隠れた存在だった。中学時代も似たような経験をしている。投手希望で入った瀬谷リトルシニアでは同学年のエース左腕がおり、外野手としてプレーした。そのサウスポーとは、富士大から18年ドラフト8位で楽天入りした鈴木翔だ。「ずっと投手をやりたかったけど、翔天(そら)がいたので。プロでチームメートになるとは」。高校(富士市立)でやっと投手に転向できた。

 制球難という課題もあって頭角を現すことができなかった大学時代。「素直にレベルの差を受け入れていました。自分より力のある選手と出会うたびにプロへの夢も薄れていった」。苦境は続く。アピールに燃えていた4年春。東都大学リーグ戦での先発を2日後に控えた投球練習中に、原因不明のイップスになった。

 チームと完全に離れ、一人きりでネットスローを繰り返した。「これで肩肘が壊れても仕方ないと思って、何万球も投げました」。克服までの1カ月間は、リーグ戦でプロのスカウトにアピールする同期たちから置き去りにされたような絶望感との闘いでもあった。

 社会人のENEOSで力をつけ、プロへの道を切り開いた。「大学の同期と投げ合いたいですね。強いて言えば…上茶谷ですね。苦楽を共にした同志なので」。同じ土俵にたどり着いた。あとは結果を出すだけだ。(重光 晋太郎)

 ◆藤井 聖(ふじい・まさる)1996年(平8)10月3日生まれ、神奈川県出身の24歳。小学3年から海老名フレンズで野球を始める。富士市立では甲子園出場なし。最速は150キロで、変化球はカーブ、スライダー、カットボール、ツーシーム。似ている有名人は俳優の伊藤英明。1メートル76、80キロ。左投げ左打ち。

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