プロ野球選手会が決起 セDH制導入“賛同” 炭谷会長、現場の意見を「提言していきたい」

[ 2020年12月17日 05:31 ]

昨年12月の日本プロ野球選手会定期大会後に記者会見する炭谷会長(中央)
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 巨人が積極的に提唱する「セ・リーグの指名打者(DH)制導入」について、日本プロ野球選手会でも意見交換されていたことが16日、分かった。同会の炭谷銀仁朗会長(33=巨人)が本紙の取材に応じ、今月3日に一部の選手を対象にアンケートを行い、強い反対意見がなかったことを明言。実際にプレーする選手らの意見は今後のセ球団の議論において重要な判断材料となる可能性がある。

 2リーグ制を敷くプロ野球でルールの大きな相違点であるDH制。炭谷選手会長は「自分たちはルールを決める立場ではない」と前置きしつつ「選手の中にもさまざまな意見があるので議論し提言していきたい」と決意を語り「実際(セ・リーグがDH制導入なら)投手の負担減を歓迎する声もある」と明かした。

 メジャーはア・リーグ、日本はパ・リーグが採用するDH制は投手が打席に立たず、打線に野手が9人並ぶ。投手は代打を送られることもなく投球に集中できることで完投能力が高まり、野手も出場機会が増えて自然と力勝負が増える。近年はパ・リーグが日本シリーズや交流戦で優勢なことから力の差がついた要因にDH制を挙げる声も多い。一方で投手が打席に入るのは「本来の野球の姿」とする声も一定数はある。

 今年の日本シリーズはコロナ下で「投手の負担を減らす」という目的で全試合でDH制を採用(例年はパ本拠地のみ)。ソフトバンクが昨年に続き巨人に4連勝と圧倒した。数年前からセ・リーグは巨人を中心にDH制導入を検討しているが、今回シリーズの結果を受け、プロ野球OBやインターネットなど各方面でDH制導入の議論が活発化している。

 そんな状況で今月3日に選手会は大阪市内で毎年恒例の選手会大総会を実施。「選手の意見を聞いておいた方がいいのでは」と考えた炭谷会長は、集まった12球団の選手会長や副会長ら25選手に対し「セ・リーグのDH制導入に賛成か反対か」という趣旨のアンケートを行った。結果は9割以上が賛成で「どちらとも言えない」などの慎重意見は少数にとどまり「(コロナ下で)投手の負担が減るのはありがたい」や「国際大会でも採用しているし、自然な流れ」という意見が多かった。

 14日には巨人がセ・リーグ理事会に来季の「DH制暫定導入検討のお願い」とする提案書を提出。他球団の猛反発で見送られたが、今季10完投で沢村賞に輝いた中日・大野雄は「投球に集中できるので大歓迎」と賛同していた。

 現在、巨人と反対球団には大きな溝があり本格的な議論ができていないという。それだけに炭谷会長は「僕らは決められたルールに従う。しっかりと議論してほしい」と希望する。実際にプレーする選手から上がった「声」は、少なからず今後に影響を与えそうだ。

 《04年球界再編で古田氏が“存在感”》過去に選手会の動きが球界の流れを大きく左右したのは、04年の球界再編問題が挙げられる。同年6月、オリックスと近鉄の合併構想が表面化。古田敦也(ヤクルト)が会長を務める選手会は「2リーグ制12球団」の維持を訴えてNPB側と折衝。9月18、19の2日間、プロ野球初のストライキを決行した。ファンの声も味方となり、12球団の維持が決定。楽天の新規参入が決まった。最近では選手会が「現役ドラフト」の導入を訴え、今季からの導入でNPBと方向性が一致したが、コロナ禍により実施は来季以降に持ち越されている。

 【DH制導入提案の流れ】
 ▼19年10月24日 巨人・原監督がオーナー報告で「(セも)DH制は使うべき」と提言。日本シリーズでソフトバンクに4連敗し「DH制というので相当差をつけられている感じがある」。高校野球ではレギュラーが9人から10人に増えることから「教育的」という持論が根底にあり、球界発展に話を広げた。
 ▼20年11月19日 NPBが日本シリーズで全試合DH制を導入すると発表。コロナ禍による過密日程で投手の負担を軽減するためソフトバンクが申し入れ、臨時実行委員会で特例として決まった。巨人以外のセ5球団から難色を示す声も出たが、斉藤惇コミッショナーが判断した。
 ▼同12月14日 巨人がセ・リーグ理事会で来季、暫定的なDH制導入を提案。山口寿一オーナー名で提案書を提出したが、賛同を得られずに見送られた。コロナ禍での投手の負担軽減、野手の出場機会増などを理由に掲げ、他球団から「巨人が提出した文章を公表するなら議論に応じない」という意見も受けたが、公表に踏み切った。

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