日本球界が変わる?「テレビの前から離れられない」とファン悲鳴、都市対抗中継の「あるデータ」が話題

[ 2020年12月3日 06:00 ]

第91回都市対抗野球 決勝   Honda―NTT東日本 ( 2020年12月3日    東京D )

<都市対抗野球準決勝 セガサミー・Honda>タイブレークの延長10回2死満塁、勝ち越しの満塁本塁打を放つHonda・佐藤(撮影・木村 揚輔)
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 Honda―NTT東日本で3日の決勝戦を迎える社会人野球の祭典・都市対抗野球。テレビ中継の中で、近年国内球場にも設置され始めている弾道計測器「トラックマン」による計測データが表示されていることにお気づきのファンも多いかもしれない。

 2回戦以降、全試合でボールの回転数や打撃の角度、飛距離などのデータが表示されるようになっている。ネット上では「面白い。野球中継を見る人が増えそう」「MLB選手との比較とか今まで聞けなかった解説が聞けるから目が離せない」「プロ野球でもやってほしい」という声が挙がっている。

 中継では社会人監督経験者を中心とした試合の解説者に加え、野球の科学的データ解析を専門とするネクストベース社のアナリストがデータ解説者として加わり、異例の「ダブル解説」で試合展開を伝えている。

 プロ野球でもあまり見られないケースで、球界にとって画期的な試みと言える。

 日本野球連盟の谷田部和彦専務理事は「コロナ禍で中継を見る人が増えると考え、少しでも社会人野球の面白さを伝えたいというPRの一環でもある。野球解説とデータ解説双方でキャッチボールをしながら多角的な視点を提供できれば」と思いを語った。

 PRだけではない。社会人野球全体の強化にもつながりそうだ。 導入の経緯は海外との差だった。社会人代表スタッフらが海外を視察した際、韓国や台湾がパワー野球へ変貌を遂げている姿を目の当たりにしていた。日本のアマ球界は未だ「キレ」や「伸び」と抽象的に表現することが多い。それで本当に選手を評価できるのか。選手のために、感覚より可視化できるものが必要だという声が挙がり始め、都市対抗でのトラックマン計測実現のきっかけにもつながった。

 17年の代表選考から測定器「ラプソード」で計測したデータを反映。昨年のウインターリーグではOPSなどを考慮して、オーダーを組んだこともあったという。今回の都市対抗で集めたデータも各チームに提供し、役立ててもらう方針だ。

 社会人代表の石井章夫監督は「具体的な数値が示されることで、“あの選手に近づきたい”といった場合に目標を設定しやすくなるのでは。同じ150キロでも回転数はどうだ、回転軸はどうだと思考レベルが上がる。それがひいては社会人全体のレベルアップにつながる」と話した。

 さて、いよいよ3日は最後の試合、決勝戦だ。今大会のデータ解説を担当する森本崚太さんにデータの見方と決勝のみどころを聞いた。中継では回転数が1球ごとに表示されているが、イコール良いボールとは限らない。「回転数と回転軸の掛け合わせで決まる。より回転軸が綺麗だとたくさん変化して、それが良いボール、ということになる」。

 さらに決勝に進出したHondaには驚くべきデータが出た。準決勝で満塁バックスクリーン弾を放った佐藤の打球速度は脅威の180キロ。大谷翔平は平均150キロで、かなり速いことが分かる。

 今大会準決勝第1試合終了までの全打球中最長かつ最速。1回戦で放ったアーチも打球速174キロをマークした。森本さんは「今までならスイングがすごい、だけで終わっていたが、プラスワンの情報があることで、より深く見て頂けると思う」と話す。また、ギャップを楽しむのもよし。「例えば回転数が少なくても抑えているとか逆に多くても打たれているとか。ドラマ性だけでなく、そういう視点でも面白いと思います」。

 今年の野球界を締めくくる最後の戦いは、データをお供に楽しんでみてはいかがだろうか。

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