楽天・石井全権新指揮官“常識”覆す「ニューノーマル」で船出

[ 2020年11月17日 05:30 ]

練習前、ナインを前に訓示する楽天・石井新監督(中央)(撮影・会津 智海)
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 楽天の石井一久新監督(47)が16日、本格的に始動した。GM職を兼務する「全権監督」の初仕事となる秋季練習が、楽天生命パークでスタート。コーチとして指導経験がないまま監督のキャリアをスタートさせた指揮官は、前例や常識にとらわれない「ニューノーマル」なスタイルで常勝軍団を築き上げていく決意を新たにした。

 ユニホーム姿のお披露目と思いきや…。チームウエアで秋晴れの楽天生命パークに姿を見せた石井新監督。「僕の5XL(サイズ)のユニホームがなかったので」と意外な理由を明かし、練習初日はコーチ陣や選手たちとの個別のコミュニケーションに多くの時間を費やした。

 「取締役GM兼1軍監督」の誕生は球界に大きなインパクトを与えた。指導経験がないことを不安視する声もあるが、新指揮官は全く意に介していない。

 「凄くノーマルな考え方が好きな方が、いっぱいいらっしゃって。僕にはよく分からない話なんですけど」

 「ノーマル」の日本語訳は「普通の」や「標準的な」など。日本球界ではコーチを経て監督に昇格するケースが一般的ではあるが「いっぱい経験しているから良いわけじゃない」と持論を展開した。

 18年9月のGM就任以来、常識にとらわれることなく、らつ腕を振るってきた。昨オフにはFAで鈴木大を獲得するなど、ロッテとの間では計7人の選手が行き来した。直近1年で成立させたトレードは計4件。うち3件が巨人で、同一球団を相手に立て続けにトレードを進めた。

 チーム得点数557と出塁率・341はともに12球団トップだったが、結果には結びつかず。訓示では「年間通していうと1350回、攻撃と守備ができる。そこをしっかりと積み重ねてきたチームがソフトバンク」と例を挙げた上で「出塁をすること、進塁すること、得点すること。ディフェンスはその反対を大事にする。1球、1アウト、1イニングとしっかり積み重ねていく」と説いた。まずは今季の戦いを徹底的に見直し、石井流の兵法を構築していく。

 ナインも新指揮官の熱い思いを受け取った。石井GMが18年オフにFAで獲得した浅村は「石井監督を男にしたい。優勝するという気持ちが改めて強く出てきた」と表情を引き締めた。4位からの巻き返しへ。「石井丸」が静かに、そして力強く船出した。(重光 晋太郎)

 【GMとしての石井流「ニューノーマル」】

 ☆文書で説明 昨オフ、前年最下位から3位に浮上させた平石監督が1年で退任。経緯と今後のビジョンについて、報道陣に文書を配布する異例の形で説明した。

 ☆電撃トレード 昨オフに涌井をロッテから金銭トレードで獲得した。今季は4年ぶりの2桁となる11勝を挙げ復活。史上初めて3球団での最多勝に輝いた。シーズン中にも4件のトレードを成立させ積極補強を進めた。

 ☆コロナ対応 「選手やスタッフ、家族になるべくリスクがないよう」と強調し、12球団で最長となる3月30日から5月7日まで39日間、チーム活動を完全に休止した。

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