阪神・梅野 「前でとらえる」山川打法で決勝打 今季2度目の猛打賞、鬼門突破に一役

[ 2020年7月27日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神9-3中日 ( 2020年7月26日    ナゴヤD )

<中・神(9)> 8回2死一、三塁、勝ち越しの適時打を放ちガッツポーズを見せる梅野(撮影・大森 寛明)
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 阪神は26日の中日戦に大勝。2カードぶりの勝ち越しで3位に再浮上した。梅野隆太郎捕手(29)が3―3の8回2死一、三塁から決勝の左前適時打。選手会長の活躍により今季1勝4敗だった「鬼門」ナゴヤドームを“攻略”し、三たび貯金生活に突入した。

 正捕手梅野は試合の潮目を見逃さない。福留の同点打が出て、なおも8回2死一、三塁。中日は福と同じ、左腕ゴンサレスを起用してきた。流れを変えるための勝負手を阻むべく、初球に狙いを定めた。

 「集中力だけは持って打席に入って、どんな結果でも恐れずに初球から打とうと決めていました。打球の行方を見ながら“落ちたな”と確認できた。決勝点になって本当にホッとしています」

 外角に沈む138キロをバットの先で捉え、手首を返して左前に弾ませた。今季2度目の3安打猛打賞となる快音は、決勝の一打に。三塁走者・熊谷が勝ち越しの生還を果たしたのを見届けると、一塁ベース上でクールに右の拳を突き上げた。

 打撃覚醒の一因は同学年のスラッガー、西武・山川だ。18年の交流戦で顔を合わせた際にノウハウを聞き出すと、自身がそれまで持っていた常識とは違う理論を話された。

 「コースにかかわらず前(投手寄り)で捉える意識で、当たる瞬間に手首を返して、打ち上げるイメージで振ってるらしい。ボールにスピンがかかってよく飛ぶし、詰まったり、バットの先でもヒットゾーンに運べる」

 この日がまさにそう。外角球でも前で捉え、インパクトを重要視したからこそ外野まで運べた。「特別に意識してるというより、良い打球の時は結果的にそうなってる」という“山川理論”が打率・337を支えている。

 プレー以外でもファンを喜ばせた。前日の試合前練習で、スタンドにいた少女にバットをサプライズプレゼント。「開幕から使ってたバットにヒビが入ったんでね。目立つヒビではないけど。喜んでくれたらと思って」。上限5000人ながら敵地に足を運んでくれた人への梅野なりのファンサービス。あらゆる場面でファンを魅了し続けている。

 梅野の殊勲打でさらに火がついた打線はその後3点を追加し、ダメを押した。矢野監督からは「リュウが続いたのは見事やった」と称賛された。扇の要から攻守の要になりつつある選手会長。得点圏打率・357という勝負強さで、チームを3度目の貯金生活に導いた。 (巻木 周平)

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2020年7月27日のニュース