新型コロナ対策 問われるプロ野球の社会的責任

[ 2020年4月8日 12:00 ]

会見する(左から)パ・リーグの横田理事長、斉藤コミッショナー、セ・リーグの三原理事長(撮影・西海健太郎)
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 開幕を延期しているプロ野球はなかなか先が見通せない状況が続いている。開幕は6月以降になることが現実的だが、それすらも不透明。感染拡大が収まらないと議論も再開できないが、その中で問われるものの一つに、国内最大のプロスポーツであるプロ野球の社会的責任が挙がる。

 Jリーグと合同で設置した「新型コロナウイルス対策連絡会議」専門家チームの一員である三鴨廣繁氏はこう語る。

 「最初の模索段階では2つのことを主に考えた。まず選手、スタッフ、またその家族を守ること。もう一つは自粛の中で極めて望まれた、野球、サッカーというスポーツ文化を守ること。そして第3の意義。それは社会に対する責任です」

 専門家チームの提言の下、プロ野球とJリーグは公式戦開催への準備を進めた。球場の消毒、サーモグラフィーなどを用いた検温態勢、アルコール消毒液や、ベンチやトレイなどの衛生環境整備。三鴨氏によると「4月末には準備できるところ」と当初目指していた4月下旬の公式戦開催へ、準備だけなら整う目途が立っていたという。ただ、3月末以降加速した感染拡大と、背負う社会的責任が、開催を許さなかった。

 同じ専門家チームの舘田一博氏は「大事なエンターテインメントであり、大事なスポーツ文化ですから。感染がピークアウトして、みんなが、一般の方々も含めて、スタートしてもいいんじゃないかというコンセンサスが得られる状況になって、初めて開催の可能性を探っていく状況だと思います」と指摘した。

 プロ野球の斉藤惇コミッショナーは「最初から社会問題だと捉えて対応してきている。開催条件を厳しく球団にお願いして。観客の方々を空けてほしい、(入場制限を)3分の1、2分の1以下にというのは、まさしく社会的責任を全うするという意味で言っていた」と話す。既に開幕を、球界としては苦渋の選択肢である無観客で行う可能性も出てきている。根拠や判断材料として、球界だけでなく社会の中の、非常に多くの要素を考慮しないとならない。斉藤コミッショナーが言う「かなり複雑な方程式」という言葉に、何ら偽りはない。(記者コラム・後藤 茂樹)

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