東京六大学 終戦直後以来の1試合総当たり 苦渋の開幕延期…日程消化難しく勝率制へ

[ 2020年4月6日 05:30 ]

神宮球場のグラウンドで会見する東京六大学野球連盟・井上崇通理事長(左から2人目)(撮影・郡司 修)
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 東京六大学野球連盟は5日、神宮球場で臨時理事会を開き、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて今月11日だった春季リーグ戦の開幕を5月下旬に延期し、試合方式を従来の勝ち点制から1試合総当たりの勝率制に変更して準備することを決めた。1カ月以上の大幅な開幕延期は初で、1試合総当たりで開催されれば戦後初めて行われた1946年春以来、実に74年ぶりとなる。

 新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、会見は神宮のグラウンドで行われた。マスク姿の井上崇通理事長(明大野球部長)は「このような状況下で春季リーグ戦を通常通りに開催することは難しい。5月下旬に開幕日を延期し、1試合総当たりの方式に変更して開催の準備を進めることになった」と苦渋の表情で発表した。

 当初は4・11開幕だった春季リーグ戦。感染が拡大している東京を拠点とし、現存のリーグで最も長い歴史があるだけに開催可否の判断は全国から注目されていた。当初は5月中旬の開幕を目指していたが、各地でイベントやスポーツ大会の中止や延期が相次ぎ、同ウイルスの終息の見通しが立たない中で同下旬に設定。具体的な日程は今後協議するが5月30日を開幕目標とし、同18日ごろを目安に再び開催などを判断する方針だ。今後の情勢によっては大学野球の風物詩である応援団もいない無観客や中止の可能性もある。

 最大の決断はリーグ戦方式の変更だ。従来の2戦先勝方式の勝ち点制では日程消化が難しいと判断。1日3試合制も検討したが、プロ野球併用日との折り合いがつかないことから、伝説の早慶6連戦など数々の名勝負を生んだ勝ち点制を断念し、勝率で順位を決定する結論に達した。内藤雅之事務局長は「7月まで行うというのは難しかった。リーグ戦をしたいという学生の思いもあるしギリギリまで努力しようと」と経緯を説明。「野球統制令」で制限された40年秋、41年秋、42年秋、戦後最初の46年春以来5度目となる歴史的な決定だ。1日3試合で開催すれば最短3週で終わる超短期決戦となるだけに各校は大幅な戦い方の変更を迫られることになりそうだ。

 勝率で並んだ際の順位決定方法など運営の詳細は現時点では未定。6校には4月中の対外試合自粛も要請された。「決して楽観的な判断ではない。場合によっては6月の開幕や無観客試合、最悪は中止も考えないといけない」と井上理事長。予断を許さない状況の中、開催への道を探る。

 ▽東京六大学野球 早大、慶大、明大、法大、立大、東大の6つの大学で構成し、毎年春と秋に実施される大学野球リーグ戦。1914年(大3)に早慶明の3大学のリーグ戦を発端とし、25年の東大の加盟を機に東京六大学連盟が結成された。第2次世界大戦の激化で43年には一時解散したが、46年に復活。試合形式は6校の総当たり戦で行い、2勝したチームに勝ち点1が与えられる。会場は全て神宮球場。

 ▽1946年春の六大学リーグ戦 第2次世界大戦の終戦を受けて復活し、5月19日の明大―東大戦(上井草球場)でスタート。総当たり1回戦制で行われた。のちに大阪(現阪神)などで活躍し、50年にプロ野球初のトリプルスリーを達成した主砲・別当薫、左腕・大島信雄が活躍した慶大が5戦全勝し、戦後初の優勝を果たし た。東大 は同校史上最高の2位。各校とも軍隊に入り、海外に出征していた選手の多くがまだ帰国していなかった。なお、神宮球場は米軍の占領下にあり、52年まで使用はできなかった。

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