阪神・矢野監督 外国人野手3人同時起用も「ありえると思うね」

[ 2020年2月18日 05:46 ]

対談をする矢野監督(左)とスポニチ本紙評論家・関本賢太郎氏(撮影・坂田 高浩)
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 【阪神・矢野監督×関本賢太郎氏対談(2)】

 関本 今年はファンも、外国人選手がたくさん来て、どういう風に使っていくんかなということにすごく興味があると思います。まず打者の方で、ボーアとサンズの評価は?
 矢野監督 ボーアに関してはパワーやね。俺らの頃のブラゼル、そして実際には知らないけどバースさんのような、浜風にも負けない打球を打てそう。あとは柔らかいんで、そんなにボールに食らいついていくというよりは、ボールを呼び込んで打つタイプと思う。本塁打、打点を期待して獲ってきた選手で、現状はイメージ通りの良い形で打ってくれていると思う。サンズに関しては打点。選球眼も良さそうなので、つなぎの役目もしてくれるかなと。あとはマルちゃん(マルテ)も早出特守で、ずっと頑張ってやっているんで。本当、誰を使おうかなと。

 関本 3人がスタメンに名を連ねる可能性も?
 矢野監督 それは、ありえると思うね。交流戦ではDHの試合もあるし。投手の状態があまり上がらない場合とか。ただ、基本的には投手2、野手2がオーソドックスな形になるかな。

 関本 その投手2人の外国人枠。投手も助っ人が多いですけど、先発、中継ぎ1人ずつか、先発か中継ぎに2人か、やり方はあると思いますが?
 矢野監督 今は、ガルシアがちょっと出遅れているからね。ガンケルは制球力が高いので先発として期待している。メジャーに上がったことはないけど、マイナーでもずっと、6回くらいは安定して投げている。使い勝手のすごく良い投手かなと思っている。(その2人のいずれか)先発1人と、後ろ(中継ぎ)でエドワーズとスアレスの競争の中で、やってもらおうかなというのがある。ただ、(やり繰り次第で)先発は登録して抹消もできるから。そうなったら中継ぎ2人もできるし、先発をそこに誰か持ってくることもできる。本当、臨機応変な形で行ければと考えているね。

 関本 打線の話もうかがいたいのですが、最近、近本選手を2番でテストしている。
 矢野監督 俺の中では、まずは「捕手・矢野」が嫌な打線を組もうと思った時に、「2番・近本」が嫌やなと。攻撃的な野球ができるからね。2番にチカ(近本)が入ることで、つなぎというより、チャンスを広げるタイプの2番になると思うのでね。あとはチカが走者に残ったら、相手バッテリーは中心打者を迎えながらチカを気にして投げることになるから、すごくプレッシャーを掛けられる。初回から1点ではなく、一気に2~3点を取れる流れを作れるオーダーと思う。03年みたいに赤星がいて、その後の3番に金本がいる時は、すごく相乗効果があった。近本の盗塁も増えると思うし、そうやって総合的に判断した場合に2番が大事だなと。

 関本 2番・近本を生かすための1、3番は、現時点でどう考えていますか?
 矢野監督 どうやろう。2番が決まったら1、3番はハメやすいかなというのがずっとあるけど。1番は糸原、木浪……北條もあるやろうし、糸井もある。うん、そこら辺かな。誰でも行ける。

 関本 上位に左打者が多い。まあボーアが4番を打つとは思いますが、その場合に右打者を上位に持ってくるとなると…。
 矢野監督 3番に右を入れないと、左が4人並ぶことになる。まあ(大山)悠輔とかサンズとか。これは競争になるから、(左の福留)孝介が元気でやっている可能性もある。まだ今の中では想像だけ。

 関本 さて、今年は東京五輪の影響で日程が変則的になります。前半戦と後半戦は分けて考えるシーズンになりますか?
 矢野監督 そうやね。前期後期(のイメージ)で行こうかなと。昔、パ・リーグで前期後期があったみたいなね。前半の100試合を全力で優勝を獲りに行って、後半の43試合の優勝を獲りに行くという考え。1カ月くらい休めることで昨季後半に中継ぎ陣をどんどん投入したような形を、前半戦からできる。それで休んで、また後半の43試合に行くぞ、というのは、なんとなく自分の中で考えている。

 関本 そう考えると投手力の高いタイガースには有利ですね。
 矢野監督 俺は前向きにとらえるから、プラスに考えている。交流戦とか長い中断期間とかは流れが切り替わるタイミングというか、最初の試合で流れが変わりやすいことになると思うから、やってみないと分からないけどね。どっちかと言うと良いようにとらえて、やっていこうと思っているけど。

 関本 その考え方を聞いたら70試合を超えた辺りで、中継ぎ陣がフル回転してくるのかなと。シーズン全体で考えたら中盤くらいからフル回転してくるのかなというワクワク感はあります。
 矢野監督 そうやね。選手に負担を掛けることになるけど、やっぱり「行くぞ」という時はね。夏場くらいには、そういう試合があるのかなと想定しているね。

 関本 さて守備面の話も…。昨季の課題にもなりましたが、今年の練習試合でも失策が出たりしていますが?
 矢野監督 俺はもう「どんどん失敗しろ」と。もちろん、結果的に失策が増えるというのは良くない。プロとして昨季100個以上の失策をして、今年、その数が増えるというのはね。でも、俺が一番、伝えているのは、失策を怖がって失策するとか、失策を怖がって捕れるボールに追いつかないとかね。そうなると、選手の能力も上がっていかない。捕れるボールはチャレンジしていく方が、うまくなると思うから。そうすれば結果的に俺は減らすことができると思っている。とにかく「やったらアカン」とか「またやったら、どうしよう」とか考えて野球をやるほど面白くなく、辛いものはない。だから俺はいつも「(昨季の失策の多さは)伸びしろや」と言う。(失策を)102個して3位になれたと。だから1人が1個減らしてくれたら80個くらいになって、1人が2個減らしたら60個くらいになって…。その時、俺らは(昨季より)何勝の上積みができているかと考えて練習した方が、みんな前を向くから。「やったらアカン」とか「ミスしたらどうしよう」というのが一番、成長を止める。だから「ミスしていいよ」と言う。その結果、絶対に(失策数は)減っているよというのが、俺のやり方やね。

 関本 なるほど。今年は昨年以上に、チームに監督の考えが浸透してきているように感じています。では最後に、言い切る形で意気込みをお願いします。
 矢野監督 まあ、いつも同じことを言っているけどね。今年は日本一になるシーズンなので。その日にちも2020年11月15日(日本シリーズ第7戦)というのは、ずっと伝えさせてもらっている。あとはチームスローガンにあるように、俺らは苦しい時こそ笑って、ファンの皆さんに笑顔や勝ちを届ける。喜びを分かち合えるシーズンになりますので、皆さんも喜ぶ準備とビール掛けの準備を、よろしくお願いします。

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