元広島エース北別府学さん、白血病公表 21日入院「カープの日本一を見届けるために必ずや復活を」

[ 2020年1月21日 05:30 ]

北別府学氏
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 広島のエースとして通算213勝を挙げ、12年に野球殿堂入りした北別府学氏(62)が20日、自身のブログで成人T細胞白血病(ATL)を患っていることを公表した。21日に広島県内の病院に入院し、化学療法を経て骨髄移植を受ける予定。北別府氏は広島の日本一を見届けるために病気と闘い、復活することを誓った。

 北別府氏は、レギュラー出演する広島ホームテレビ(テレビ朝日系列)の情報番組内で「成人T細胞白血病」を患い、療養に入ることを自ら公表。闘病の公表に踏み切った理由について「毎週テレビに出させていただく中で、最近姿を見ないとなると皆さんご心配される。僕自身も治療するなら気持ちを一つにし、番組を休んで治療したいという思いもあった。元気なうちに治して、また帰ってきたい」と語った。

 同氏や所属する芸能事務所ホリプロによると、2年前の血液検査で白血病が発覚。月に1度の定期検診で経過観察していたが、昨年11月の検診で数値の上昇が見られたため、21日から広島県内の病院に入院して治療に専念することになった。当面は化学療法(抗がん治療)を行い、その後に骨髄移植を受ける予定という。

 番組出演後には「皆様へ」と題して自身のブログを更新。「白血病に見られるような体のだるさや発熱は全くない」としながらも、白血球や異常細胞の数値が「右肩上がりで上がってきた」と近況を説明。治療期間は「3カ月から半年ほどだと予測される」とし「化学治療が始まったら体調が悪くなり髪の毛も抜けると聞きました」としながらも「カープの日本一を見届けるために必ずや復活します。孫にも野球を教えなければなりません」とつづった。

 北別府氏は1986年にセ・リーグMVPに輝き、82、86年には沢村賞を受賞。3度の日本一に貢献した。94年の現役引退後は、2001年から04年まで広島の投手コーチを務め、近年はブログやSNSを駆使し、野球評論活動を続けていた。

 《長い潜伏期間 60歳以降に多い発症》▼成人T細胞白血病(ATL) ウイルス感染が原因で異常細胞が増殖する疾患。1977年に日本で初めて解明された。白血球の中のT細胞が感染し、そこからがん化した細胞が無制限に増殖することで発症。感染しても95%が発症しないといわれる。潜伏期間は30年から50年のため、60歳以降の発症が多い。現在、感染者は全国で約110万人。

 ▼医療ジャーナリスト森田豊医師 成人T細胞白血病はHTLV―1というウイルスが原因で生じる白血病の一つ。母親が感染している場合は母乳を介して子供にうつることもあるし、輸血や性行為でうつる可能性もあり、感染後は30年から50年を経て発症する。感染した人が1000人いるとすると発症は1人弱。一般的に血液の中に異常な白血球が増えるが、そのほか、リンパ節が腫れることもあるので、それで病気に気付くこともある。今後は抗がん剤による治療を繰り返し行うが、状態によっては骨髄移植を行う。北別府さんは運動をされてきた方であるし、体力的にも闘病に耐えられると思う。

 ▼北別府 学(きたべっぷ・まなぶ)1957年(昭32)7月12日生まれ、鹿児島県出身の62歳。都城農から75年ドラフト1位で広島に入団。抜群の制球力を武器に78年から11年連続2桁勝利。92年7月16日の中日戦で球団初の200勝投手に。94年限りで引退し2001~04年には広島投手コーチを務めた。通算515試合、213勝141敗5セーブ、防御率3・67。最多勝2度、最優秀防御率1度、沢村賞2度、86年セ・リーグMVP。12年に野球殿堂入り。右投げ右打ち。

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