中京学院大中京 橋本哲也監督 選手は「息子」 一つ一つのコミュニケーションを大切に

[ 2019年9月1日 10:00 ]

宿舎近くの公園でシャトルを目で追う練習をする中京学院大中京・藤田(右)と橋本監督 
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 令和最初の甲子園大会で、スポニチ高校野球取材班が印象に残った選手やこぼれ話をリレー形式で紹介するコラムは第9回。3試合連続逆転勝ちし初の4強入りを果たした中京学院大中京の橋本哲也監督(55)です。

 大会で印象に残った監督といえば「狭間ガッツ」の明石商・狭間善徳監督もいるが、同じくベスト4に進出した中京学院大中京の橋本監督も、人心掌握にたけると同時に熱い気持ちを持つ指揮官として心に残った。

 星稜との準決勝前日。練習場所は宿舎近くの高架下にあるダイヤモンド一周分くらいの小さな公園だった。大会No・1投手の奥川対策として取り組んだのがバトミントンのシャトルを使用した練習。NTT西日本監督時代も導入していたという。約1メートルのひもの先にシャトルを結び、一人が回転させる。打者を想定したもう一人が迫っては逃げていくシャトルを目で追いスイングのタイミングを図るというものだった。

 150キロを超える奥川の速球を想定し、動体視力を鍛えるための練習といったが、橋本監督は「効果が出るかは分からないけど、この小さな公園でそういう練習をしてきたという経験が彼らの財産になる。例えば彼らが指導者になったときとかにね」と説明。選手たちの今だけでなく、将来のことを考えた練習でもあったことに驚かされた。

 指示も具体的で的確だった。「奥川がきたらラッキーだと思いなさい。相手のストレートの力を利用して半分くらいの力でスイングするんだ」。自らバットを持ち、大きなゼスチャーで選手に指導する姿も印象的だった。

 橋本監督は同校OBで亜大では阿波野秀幸(現中日投手コーチ)と同期で大学選手権準優勝を経験。その後、社会人のNTT東海でプレーした。会社では営業職を務めた。そこで培われた地道にこつこつと結果を積み上げていく経験が指導にもいきているという。「デジタルな会社にいましたけど、私はアナログな人間ですよ」。

 大会開幕前には自ら三塁でノックを受け、左太腿肉離れをおこすほどのハッスルプレーを披露。自ら先頭に立って選手たちを盛り上げるのは、チームとしての団結力を大切にしているからこそ。選手を「息子」と呼び一つ一つのコミュニケーションを大切にしてきた。

 結局、奥川相手には7回で2安打しか打てず無得点で敗れた。「あれだけのスピードとキレがあったら対応は難しい」と潔く敗戦を受け入れた。それでも同校史上最高成績に「選手は持っている力の全てを出しきってくれた。控えの3年生やスタンドも含めてみんなに感謝したい」と言った。もちろん、その先には続きの言葉もあった。「全国のトップレベルとやりあうには、まだまだ鍛え上げていかないと。この経験を次の代につなげていきたい」。再び戻ってくるべく、新チームの指導に目を向けていた。(阪井 日向)

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