阪神・木浪 6連打口火打からのトドメ弾!代打で眠れる虎起こし「狙い通りのスイングができた」

[ 2019年8月15日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神6-3中日 ( 2019年8月14日    ナゴヤD )

6回表2死、木浪は右越えソロホームランを放つ(撮影・椎名 航)
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 阪神・木浪聖也内野手(25)が14日の中日戦で猛虎を今季ワーストの24イニング連続無得点の停滞から救った。3点劣勢の5回2死無走者から代打で39日&23打席ぶりの安打を放ち、6連打5得点の猛攻へ点火。次打席では91日&131打席ぶりの3号も描いた。逆転勝利を呼び、ナゴヤドームの5連敗を止める救世主になった。

  まさに救世主だ。悔しさ、喜び、すべてが詰まった木浪の一打は沈黙していた打線を呼び覚ました。

 「ずっとヒットが出ていなかったので、結果を出したいと臨んだ打席でヒットを打てて良かった」

 3点劣勢の5回2死無走者で秋山への代打で送り出され、肘を折り曲げながら山井の内角スライダーを右前へ。約1カ月ぶりの安打が固く閉じられていた扉を開いた。

 続く近本の中越え二塁打で一気に生還。猛虎にとっては25イニングぶり得点を踏んだ。火が付いた猛攻はやまず、一挙5得点。1本の安打が生んだ波紋は6連打の大波へと化けた。

 逆転を誘発した安打を認められて二塁に就き、直後の守備では青森山田の同期、京田の二塁左へのゴロを好処理。6回2死無走者で迎えた2打席目では1ボールから三ツ間の内角スライダーを右翼席へ運び、貴重な追加点もたたき出した。5月17日の巨人戦で菅野から放って以来の3号。6日の昇格から4度目の出場でやっと気を吐いた。

 「狙い通りのスイングができた。完璧でした」

 苦しい経験がようやく報われた。自己最悪の20打席無安打に陥った7月下旬に初の2軍降格。「どうすればいいか分からなくなったし、自分のことでいっぱい、いっぱいだった」と自信を失った時期もあった。新井2軍打撃コーチや高代2軍チーフコーチらから親身な助言をもらい、育成ドラフト1位・片山が支配下登録された際の祝杯の席では「俺も頑張らな」と刺激も得た。前を向けたからこそ逆襲の2安打につながった。

 矢野監督も途中出場からの大貢献に目を細めた。「本当にラッキーボーイでね。試合に出られなかったり、2軍も行ったり、悔しさを味わってね。本当によく打つ方も守る方もやってくれたかなと思います」。ナゴヤドームでの連敗を5で止めた立役者の起用は今後も増えていくはず。一度、屈辱を味わった男の逆襲はここから始まる。(長谷川 凡記)

 ○…阪神は5回、12日中日戦の初回(1点)以来となるチーム25イニングぶりの得点。24イニング連続無得点は、6月29日中日戦8回から7月2日DeNA戦9回にかけて記録していた22イニングを上回る今季ワーストだった。

《記者フリートーク・Hondaで築いた確かな土台》
 本塁打の裏には、木浪がずっと意識してきたものがあった。下半身主導の打撃だ。亜大時代は4年間で0本塁打。社会人のHondaへ進み、「ミスター社会人」と呼ばれた西郷泰之ヘッドコーチとの出会いが大きく変えた。

 同コーチの下、膝をしっかりと曲げ体勢を低くしたままバットを振るティー打撃を毎日欠かさず実施。成果は絶大で社会人2年間では練習試合を含めて13本塁打を残した。

 この練習をプロに入ってもずっと続けている。「やめたら無駄になってしまう。だからプロでも強く振る意識を持ってやっている」。6回の一発は貫いてきた練習の成果を示すものとなった。築いてきた土台は間違いではなかった。(阪神担当・長谷川 凡記)

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