阪神・近本“神風”呼ぶ連続盗塁「いい流れを持って来られた」

[ 2019年6月23日 05:30 ]

交流戦   阪神6―2西武 ( 2019年6月22日    甲子園 )

4回1死二塁、近本は三盗を決める(撮影・北條 貴史)
Photo By スポニチ

 阪神・近本光司外野手(24)が22日の西武戦で16試合ぶりの盗塁を決めて逆転勝利へ導いた。2点を追う4回に右前打で突破口を開き、二盗、三盗に成功。直後に浜風の影響を受けた幸運な連打が飛び出し、劣勢を一変させる“神風”を呼んだ。盗塁した13試合で11勝2敗。土曜日の連敗を6で止め、5カードぶりの勝ち越しを決めた。

 近本が勝利の風を吹き込んだ。4回先頭。3回まで一人も走者を出せなかった本田に初安打を浴びせた。追い込まれてから懸命にチェンジアップを捉えた右前打がすべての起点になった。

 バットで開けた一穴を武器とする足で大きく広げた。糸原の打席では1ボールからの2球目に二盗。セーフ判定は西武・辻監督のリクエストでも覆らなかった。これだけでは終わらない。1死後、糸井の打席でも1ストライクから2球目に走った。完全に隙を突いた今季3個目の三盗は同僚の梅野らを上回り、リーグ最多になった。

 「いつでも行けるようにと思っていた。チームにいい流れを持って来られたので良かった」

 中飛に倒れて走者を進められなかった糸原を救い、糸井の精神的重圧も軽減した。二重三重の意味を持つ三盗だった。そして、劣勢の空気は完全に変わった。糸井の飛球は風に押されて中前へ落ち、大山の飛球も再び風に戻されるように右翼線の内側へ落ちた。逆転の一挙3得点は近本が呼んだと言っていい。他でもない矢野監督が認めた。

 「大きく流れを変えてくれたのは近本。負けている場面でも、ああやってチャレンジしていく、挑戦していく気持ちでやってくれたプレーが一気に流れを呼び込む点になった。素晴らしかった」

 交流戦では初対決の投手に苦しみ、22打席無安打を経験するなど大きな壁に直面した。塁に出なければ、持ち味の俊足は生かせない。「悪い方向にいっている」と悩みながら我慢の日々を過ごしてきた。「何がしたいか、相手がどうされたら嫌かを考えてやっている」。盗塁は4日のロッテ戦以来、16試合ぶり。自己最長のブランクを打ち破り、「やっと自分の仕事ができた」とうなずいた。

 「1番・中堅」での出場は53試合連続。不振でも矢野監督が不動を貫いた理由がここにある。計18盗塁はセ・リーグトップの中日・大島に2差。目標の盗塁へも再出発を切った。「塁に出たらプレッシャーを与えられるようにやっていきたい」。近本が打って走れば、猛虎は強い。 (長谷川 凡記)

続きを表示

2019年6月23日のニュース