広島・山口プロ初白星!20歳が7回1安打快投 球団新の月間19勝目

[ 2019年5月31日 06:10 ]

セ・リーグ   広島13―0ヤクルト ( 2019年5月30日    神宮 )

プロ入り初勝利を挙げた山口はスタンドの声援に応える(撮影・森沢裕)
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 2年目の新星が衝撃の快投だ。広島・山口翔投手(20)が30日のヤクルト戦で二塁を踏ませず7回を1安打零封。プロ初先発でうれしいプロ初勝利を飾った。打線もバティスタの2発など今季最多タイの16安打で今季最多の13点を奪って強力に援護。チームは25年ぶりに球団記録を更新する月間19勝目を挙げ、首位での交流戦突入が確定した。

 詰まった打球が左前に落ちた瞬間、山口は悔しげな表情を隠さなかった。無安打を続けていた7回2死。高校時代は対戦のなかった同郷のライバル・村上をカウント2―2と追い込み、内角高めの143キロ直球でバットをへし折りながらも、初めて安打を許した。

 「村上にだけは打たれたくなかった。火が付いて次にまた抑えてやろうと思いました」

 大記録は途切れても快投は色あせない。初回、強打の青木、山田哲をこの日最速の147キロ直球でいずれも中飛に斬って20歳は乗った。カーブで巧みに緩急をつけ、二塁を踏ませない1安打1四球の7回零封。鮮やかすぎるプロ初星だ。

 「初回をストライク先行で抑えられたことが大きい。全力で投げた結果が勝ちに結びつき、うれしいです」

 1軍初参加の昨秋キャンプで遠慮から腕が振れずに悩んだ大器。殻を破る転機は、11月のファン感謝デーだった。大観衆の前で一芸を求められ、少年時代からの“十八番”だった永川の投球フォームのモノマネを披露すると、爆笑が起きた。19歳年上の先輩も笑顔で受け入れてくれた。

 「あれが大きかったんです。怒られると思っていたので、“ここまでやっていいんだ”と。1軍の先輩とのつながりもでき、心のゆとりが生まれました」

 1軍スタートの今春キャンプでは遠慮が消え、自慢の直球をアピールした。「あのモノマネが野球に生きるなんてビックリです」。熊本出身ながら2歳から小学5年まで広島在住。緊張する初先発の舞台でも堂々と腕を振れたのは、ファンとしてテレビで見ていた永川の独特なフォームがキッカケだった。

 「大あっぱれだよ。秋のキャンプから期待していた投手の1人。2~3試合は任せてみようと思う」。月間19勝の球団新記録に貢献した新星を緒方監督は絶賛し、交流戦でも先発起用を明言した。

 「ウイニングボールは熊本のお父さん、お母さんに贈ります。カープにきてよかった」

 リーグ4連覇に向かって首位を快走する赤ヘルに、また1人楽しみな戦力が生まれた。(江尾 卓也)

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2019年5月31日のニュース