オリックス・吉田正 師匠の“世界の室伏”から期待される前人未踏の領域

[ 2019年1月23日 09:00 ]

室伏広治氏(左)の指導の下、紙風船を使いトレーニングをするオリックス・吉田正(撮影・井上徹)
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 21日に東京医科歯科大学で公開されたオリックス吉田正尚外野手の自主トレを取材した。陸上男子ハンマー投げでアテネ五輪金メダリストの室伏広治氏に師事するもので、トレーニングは他では見ない独特なものも多かった。

 紙風船をつぶさないようにしながら、一方で両手で押さえつけ、足にゴムバンドを装着して前進後退する。体幹部を鍛えるものだといい、紙風船も体の前、頭の後ろ、背中で持つなど何パターンかを繰り返した。また、バーベルの両端にハンマーをぶらさげ、中腰になってバーベルを揺らすことで、ハンマーを揺らす「ハンマーロビックス」と呼ばれるものや、ミニハードルを片足で跳ぶ際に、背中にハンマーを装着して、不安定な体勢でも着地をしっかり決めるもの…など。「研究テーマにしているものを一緒に取り入れたりしている」と室伏氏は説明した。おそらくハンマーを使ったトレーニングなどは、現役時代から試行錯誤し、研究をまとめた「室伏虎の巻」で、それを伝授されているわけだ。アスリートなら誰もがうらやむ光景だろう。そんな吉田正について室伏氏が評する場面もあり、うなづけた。

 「球界で期待されている選手ですよね。本当に性格が素直で、自分で実践して、できるまであきらめない。だからこそ腰を手術してからも、ここまでできるようになったのでしょうし、まだまだ良くなりたいという気持ちを感じます。特に彼は(1メートル73の)体格をカバーしなければいけないところもあるが、良い性格がそうしているのだと思う。言ったことはすぐ、できますしね」

 嘘でも何でもなく、練習の説明を受ける際、吉田正の目が輝いていたように見えた。室伏氏の説明を聞き、練習の意義を頭の中で整理し、理解しているような表情だった。かつて、テレビ番組などで「日本最強のアスリート」と言われていたが、そんな第一人者の指導を全て吸収しようとする姿勢だ。

 2年前、縁もゆかりもなかった室伏氏に突然手紙を出して弟子入りを志願。その手紙の文字から、熱意を感じ取った室伏氏は門戸を開き、この師弟関係は生まれた。吉田正は「一緒にやらせてもらって自信にもなるし、引き出しも増える。いろいろ相談もします。本当に安心につながる」と、3年目となった今も変わらない深い信頼関係を口にした。

 腰の手術も終え、昨季は本当の意味で吉田正尚の実力を垣間見せた。ただし、2人の目標はまだまだ先だ。「体は鍛えるところがたくさんあるが、本人も研究熱心。まだまだ伸びしろある」と成長を期待し、師匠はこう続けた。

 「周りの人ができないことをやってほしい。1年、2年ではできないこと。野球界の記録は積み重ねですからね。長くケガをせずにやることで獲れるタイトルもある。長い目で頑張ってほしい」

 室伏氏が持つ数ある記録の中でも仰天なのが、日本選手権の20連覇だ。20年間、一度も日本一の座を譲らなかったというのは、おそらく当分は破られない金字塔だろう。弟子も前人未踏の領域に足を踏み込めるか。楽しみな夢は続く。(オリックス担当 鶴崎唯史)

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