1年で戦力外通告…難病と闘うオリ中道の複雑な胸中「踏ん切りつかない」

[ 2017年10月30日 10:50 ]

今年1月の新人合同自主トレに参加した中道
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 JR東日本・田嶋大樹投手(21)、日立製作所・鈴木康平投手(23)と即戦力投手の1、2位指名に成功したオリックス。今ドラフトは、普段から客観的な分析をする福良監督も「90点」と高得点を付ける内容だった。来季逆襲のキーマンとして新戦力が加入する一方で、球団を離れる選手がいる。昨年ドラフトで育成5位で明大から入団し、戦力外通告を受けた中道勝士捕手(23)。大阪・舞洲の2軍施設で通告された夜、電話越しの、その声は涙に濡れていた。

 「本当に悔しいです。悔しいっていう気持ちしかないです…」

 難病に悩まされた1年だった。昨年12月に潰瘍性大腸炎を発症した。厚生労働省が特定疾患に定める難病で、腹痛や倦怠(けんたい)感、虚脱感などの症状が出るもの。球団では、安達も昨年1月に発症し、今季も万全とは言えない状態で苦闘を続けた。

 中道も、投薬治療と食事制限を徹底し改善を図ったが、年明けの新人合同自主トレから不安と向き合い続けた。「潰瘍性大腸炎と診断されてから先が見えなくて…」と、こぼしたこともあった。春季キャンプ中も体調不良は付いて回り、第2クールには別メニュー調整を強いられた。春先、一時は回復傾向にあったが、消耗が激しい夏場が近づくにつれ再び悪化。7月から約2カ月、野球に取り組める状態ではなかった。

 「自分の力が、プロでやっていけるものかどうか、そこの部分すら分からない段階でチームを離れることになってしまい、自分でも踏ん切りがつかない」

 小柄だが、打撃やキャッチングを含めた捕手としての能力を認める声は多かっただけに、言葉の端々から複雑な胸の内が伝わった。今後については未定だが、さまざまな可能性を模索し野球に関わっていく意向。大阪・舞洲の選手寮「青濤館」を退寮する数日前だった今月中旬、中道は「まだ、どうなるか分かりませんが、やれることを頑張ります」と前を向いた。グラウンドに立つ中道の姿は、きっと同じ病気と戦う人たちの励みになるはずだ。(湯澤 涼)

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2017年10月30日のニュース