山崎晃大朗 真中監督の期待背負い「自分に合った打撃」を

[ 2016年8月9日 14:02 ]

8月5日の阪神戦でプロ初安打を放ち、二盗も決めたヤクルト山崎

 一塁ベース上で、ホッとしたようにはにかんだ表情が印象的だった。8月5日のヤクルト―阪神戦(神宮)。ヤクルトの山崎晃大朗外野手がプロ初安打を放った。藤浪の直球を左線へと運ぶと、50メートル5秒9の俊足を生かして二盗も決めた。試合後、チームが敗れたこともあり満面の笑みとはいかなかったが「個人的には第一歩を踏み出せた」と感慨深げだった。

 そんな山崎を見て、ふと「あの時」のことを思い出した。昨年6月、東都大学リーグの一、二部入れ替え戦が神宮で行われ、オフだった真中監督が母校・日大の応援に訪れた。昨年までヤクルト担当をしていた私は一緒に試合を見る機会に恵まれた。「プロに入ってもおもしろい選手になるだろう」と視線を送っていたのが、日大の「3番・中堅」で出場していた山崎だった。足の速さと守備範囲の広さはもちろんのこと。この試合では4打数2安打とバットでも1部昇格に貢献した。正直、派手な活躍をしていた選手はほかにもいた。しかし真中監督が「打撃というのは自分に合ったものが大事。例えば追い込まれたら三振しないように粘るとか」と話していたのを思い出す。

 約4カ月後、ドラフト会議でヤクルトが5位指名。日大出身、左投げ左打ちの外野手という共通点を持った真中監督が現役時代に背負った「31」を継承することになった。開幕は2軍スタートだったが、7月31日に初めて1軍切符をつかんでから13打席目。プロでのスタートを告げる一打は「あの時」と同じように真中監督が見つめる中、神宮で放った。

 初安打の翌日には初のマルチ安打。3本の安打はいずれも逆方向に運んだ。一つずつ階段を上がる山崎は「1軍にいられるように、これからが大事なんです。慎吾さん(川端)、中島卓也さんのように、2ストライクから簡単に終わらない。そういう打者にならないといけない」と言った。この世界で戦っていくための「自分に合った打撃」を磨こうと、必死の毎日が続いている。

 ちなみに、やま「ざき」ではなく「さき」。晃「太郎」ではなく「大朗」。波に乗れず苦しむチームに、どんどん新風を吹き込んでいってほしいと思う。(記者コラム・町田 利衣)

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2016年8月9日のニュース